オランダのICカード大手、ジェムアルトは2015年9月17日、産業機器分野のIoT(Internet of Things)ソリューションを対象としたコンポーネントを発表した。データを安全な場所に保存しアクセスを制御する製品で、「Cinterion(シンテリオン)」ブランドの「セキュアエレメント」として提供する。同社は、ソフトウェア保護製品ブランド「Sentinel(センチネル)」シリーズについてもIoTへの対応を進めており、2つの製品軸でIoT関連事業を強化する。
ジェムアルトは、オランダに本社を置くICカード大手。接触/非接触のICカードや通信用のSIMカードのみならず、周辺機器やアプリケーション、システム構築など幅広く事業を行う。金融機関の決済カードやeパスポートに埋め込まれているチップの多くが同社から提供されているなど、グローバルで高いシェアを持つ。
このほど提供を開始した「Cinterionセキュアエレメント」は、簡単に中身を読み取ることのできない“耐タンパー性”を持つ「組込みコンポーネント」だ。いわゆる情報セキュリティの脅威だけでなく、ICカードの表面をはがすといった物理攻撃にも耐性を持つ、理論的・物理的に頑丈な半導体製品となっている。
産業用機器やコネクテッドカー、スマートメーターなど、過酷な環境あるいは長年にわたって使い続けられるIoT用デバイスに組み込まれ、ICカード(スマートカード)レベルのセキュリティを提供する。データを安全な場所に保存し、許可されたアプリケーションとユーザーのみがデータにアクセスできるようにするほか、無線通信を経由したセキュリティ認証情報やソフトウェアの更新を可能にする。
写真1:バイスプレジデントのAnsger Dodt氏拡大画像表示
ジェムアルトは、2014年に米セーフネットを買収した経緯がある。セーフネットが提供してきたのは、ジェムアルトの従来製品とはアプローチの異なるセキュリティ製品群だ。製品ラインは認証ソリューション、暗号化ソリューション、ソフトウェアの収益化ソリューションの3つ。ジェムアルトのバイスプレジデントであるAnsger Dodt氏は「IoT分野での両社のシナジーという観点で、特に注目しているのが収益化ソリューションだ」という。
ソフトウェアの収益化とは、ソフト開発会社が自社の知的財産の収益性を確保するために行う様々な施策のこと。その範囲は、著作権侵害対策や知的財産保護、価格設定、製品のパッケージングにまで及ぶ。ジェムアルトは、ライセンス管理製品とエンタイトルメント(権限)管理製品としてSentinelシリーズを提供しており、IoTデバイスに組み込まれているソフトの保護への適用を検討している。
IoTデバイスに組み込まれるソフトといっても大小様々で、守る必要のあるもの、ないものとに分ける必要がある。「単機能の小さなソフトを組み込んだ専用の小型デバイスなどは、今のところ対象になり難い。まずは家電やプリンター、ハンディ端末、産業機器などの、OSを搭載したリッチな組み込みソフトがターゲットになる」(Dodt氏)とする。
ポイントは、これまでの売り切り型の販売モデルがSentinelによって変化することにある。売り切り型の販売モデルでは、ソフトのライセンス形態は永続使用一択だった。ユーザー先での利用状況を知りえる立場にあるのは、直接ユーザーと接している販売会社に限られており、ソフト会社は販売会社を通してのみ、ユーザーの利用状況を知ることができた。
しかし、Sentinelの収益化ソリューションを活用すると、売った後もソフト会社とユーザーの関係は途絶えない。例えばSentinelでは、ソフトを利用する際にそのライセンスの使用履歴がライセンス管理サーバーに残される。そのライセンシング情報から、現在どのバージョンが使われているかなど、これまでソフト会社が知りえなかったユーザーサイドの情報を知ることができるようになる。IoTではないが、この仕組みを使って、すでにルーターメーカーなどが新たなユーザーとの関係構築に成功しているという。
この仕組みを、IoTにも活用しようというのがジェムアルトのチャレンジだ。Sentinelは、ARMやAndroidなどの組み込みOSにも対応しており、家電やプリンターに限らず、IoTデバイスとしての活用が期待されているウェアラブルデバイスなどのライセンス管理も可能となっている。
そしてDodt氏は、「現在、IoTアプリケーションの開発環境は整ってきており、この先必ずしも専門のソフト開発会社だけがIoTアプリケーションの開発会社になるとは限らない」と指摘。製造業などこれまでユーザーだった企業がプレーヤーとして参入する可能性もあり、ジェムアルトとしては「これらソフトライセンスの管理に慣れない企業も視野にそのビジネスを支援していく」とする。
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