米Amazon Web Services(AWS)は2015年10月8日、インターネットとつながった「モノ」であるコネクテッドデバイスからの大量データを処理、分析、実行できるIoT(Internet of Things)プラットフォーム「AWS IoT」を発表した。米国で行われたAWS re:Invent2015で発表されたもので、グーグルやマイクロソフトに続き、いよいよ「大本命」が本格的なIoT参入を表明した。
大量のデータをインターネット越しに扱うIoTは、クラウド技術をベースとしている。インターネットの巨人である米GoogleはIoT用OSともいわれる「Brillo」を、Azureで構成をかける米Microsoftも「Azure IoTサービス」をそれぞれ発表してきた。そして今回、クラウドサービスでもっとも成功を収めてきたAmazon Web Serviceが、潤沢なインフラ資産と高い技術力を活かしたIoTサービスを、満を持して発表した。それが「AWS IoT」だ。
AWS IoTは、「Device Gateway」を介してコネクテッドデバイスとデータのやり取りを行う。Device Gatewayは、デバイスの登録、データ配信を行うPub/Sub(Publish/Subscribe)モデルのゲートウェイで、HTTPと、軽量でシンプルなためIoTに適しているといわれる通信プロトコルMQTT(Message Queue Telemetry Transport)に対応している。
Device Gatewayから送られてきたデータは、AWS IoTに用意された「Rule Engine(ルールエンジン)」に送られる。Rule Engineは、フィルタリング、処理、ルーティングのルール作成を行う。例えば、コネクテッドデバイスから送られてきたデータの中から、特定のセンサー・データをフィルタリングして得たデータのみをKinesisにルーティングしておき、後にデータウェアハウスであるRedshiftにストリーミングして分析するといった細かい設定が行える。
また、AWS IoTはクラウドベースの「Things Shadows」という機能を搭載している。接続されているデバイスの持続的な仮想バージョンとなるもので、デバイスがオフライン時でも、アプリケーションは常にデバイスからのメッセージを読み取り、データのやり取りを行える。デバイスが再接続した時に、差分のみを送信するようAWS IoTに指示することも可能だという。
AWSはデベロッパー向けに、AWS IoTの機能を容易に使用できるSDKを用意した。ArrowやBroeadcom、Intel、Marvell、Qualcommといった半導体メーカーからは、このSDKを組み込んだ「IoTスターターキットby AWS」が提供されている。また、AWS IoTの機能を拡張するために、AWS パートナーネットワーク(APN)のパートナーから連携可能なサービスが提供される。提供するパートナーは、Ayla Networks、Cirrus Link、Thingworx、Xivelyなど。