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デジタル時代のワープロを再発明する!?MetaMojiが業務現場向けアプリを開発

2015年11月30日(月)田口 潤(IT Leaders編集部)

企業の非定型業務に欠かせないオフィスソフトの原型は1980年代に遡る。改良に改良を重ねているとはいえ、我々は30年前のソフトウェアを今も使い続けていることになる。これに対しMetaMojiの浮川和宣社長は「それは、あるべき姿ではない」と主張する。

 物流施設や建築現場の作業所、工場、あるいは小売店の店頭などなど。こうした、いわゆる”現場”を動かすマネジャーの業務は、資材や商品のチェック、顧客情報の確認、起きた問題のメモなど、対処しなければならないことが多いうえに煩雑だ。決まったことを確実に実行する定型的な業務に加え、現場の人やモノに起因するイレギュラーな非定型業務が時々刻々と発生するからだ。

 こうした非定型業務の遂行を支援するために、ノートPCやタブレット、スマートフォンといったスマートデバイスを配布している企業は少なくない。だが、一部の定型業務を除き「非常に効果的」とまでは言えないのが現実ではないだろうか。

図1:「GEMBA Note」が対象にする業務の例図1:「GEMBA Note」が対象にする業務の例
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 「現場のために開発されていない仕組みをアレンジして使おうとするから無理が生じる。現場にとって最適な形で、定型/非定型が混在した様々な業務を効果的にサポートするには、新しいツールが必要だ」−−。こんな考えの下、スマートデバイス向けのアプリ「GEMBA Note」を開発したのがMetaMoji(メタモジ)だ(図1)。

 MetaMojiでは2015年11月末から、iOS用のベータ版の提供を開始。2016年第1四半期にはiOS向けの製品版と、Windows用のベータ版をリリースする計画である。GEMBA Noteとは一体、どんなアプリなのか。

 以前からMetaMojiは、iOS端末やAndorid端末向けに「MetaMoji Note」という製品を提供してきた。手書き文字認識を基本にした文書作成用のアプリケーションで、写真やイラスト、絵、PDFなどを扱えるのが特徴である。キーボードを使わないペン入力を基本にし、組織での情報共有や共同編集が可能なことから企業利用が増えているとする。

 その1社がゼネコンの大林組だ。大林組では以前から「野帳」と呼ぶ紙のノートを使って、毎日の作業項目やその記録、施行写真など業務上発生する情報を管理してきた「2014年に同社から野帳を電子化したいという依頼を受けて『eYACHO』を開発し、2015年4月にリリースした。これを発展させたのがGEMBA Noteだ」(浮川社長)という。

図2:カレンダーの概念を文書管理に採り入れたGEMBA Noteの画面例図2:カレンダーの概念を文書管理に採り入れたGEMBA Noteの画面例
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 GEMBA Noteの特徴は4つある。1つは日付(カレンダー)の概念を、文書(ノート)を作成・管理する際の標準指標に取り入れたこと。日付順で過去の情報を閲覧したり検索したりできる。将来の日付を指定した文書を作成すれば、プロジェクト管理やToDo管理にも利用できる(図2)。「現場ではToDoを多用するため、アプリケーションのアイコンの右肩には、未完了のToDOの個数を表示するようにした。iOSやGoogleのカレンダーにノートへのリンクを挿入することもできる」(同)。

 第2は、手書きや写真画像による自由なノート作成に加えて、表計算やフォーム作成の機能により、定型業務処理に必要な情報の入力や閲覧、共有を可能にしたこと。例えば、交通費精算では領収書をカメラで撮影し、その画像を定型帳票に組み入れて送れる。タクシーなど領収書の画像を複数枚貼り付ける際のリサイズや位置決めも自動化した。小さなことに思えるがデモを見ると実用性は高い。

 3つ目は、テキストや手書き文字やイラスト、写真、表、PDF文書などを1つのノートとして1ページに配置し、ページをめくるといった操作なしに大量情報を扱えるようにしたこと。A4ページの文書を巨大な一枚の板に貼り付けた感覚だ。これをスライドしたり、ピンチアウト/イン(指による拡大/縮小)したりして全体を把握する。スマートデバイスが持つタッチ操作機能を活用した機能だ。

 そして4番目は、上記のような多くの機能を盛り込む一方で、操作性が悪化しないように工夫したこと。「スマートデバイスでは単機能のアプリを複数組み合わせて使うのが一般的。だが、それでは操作が煩雑になる。GEMBA Noteでは、多くの機能を盛り込みながらも、テンプレートで機能を事前設定する方法により個々の操作が複雑にならないようにした」(浮川社長)。

 「今、広く使われているワープロは、メモリーが少なくネットワーク接続もカメラもない35年前に設計されたもの。何億人もの利用者がいるため、根本から設計を変えるのは困難であり、技術のベースは今も当時のままだ。一方、今日ではマルチコアのCPUに必要なだけ使えるメモリー、カメラやタッチ操作、さらには4Gの無線接続が標準になりつつある。そんなデジタル時代に最適化したワープロを再発明したいと考えた」。浮川社長はGEMBA Noteをこう位置づける。

 大げさに聞こえるかも知れないが、確かに既存のワープロは写真を扱うにしても文書に貼り付けられる程度である。一方、数多くあるスマートデバイス用のアプリケーションは単機能化され、少し複雑なことをしようとすると複数のアプリを使いこなさなければならないという問題がある。

 Metamojiの浮川氏は一世を風靡した日本語ワープロソフトウェア「一太郎」を開発したジャストシステムの創業者であり、長く社長を務めた人物。MetaMojiの技術陣も同様だ。そう考えると「現場で使えるワープロを、最新のデバイス技術を前提に再発明した」というMetaMojiの説明には納得感がある。

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