モバイルデバイスの企業利用は、古くて新しい、しかも喫緊のテーマの1つと言える。ワークスタイルの変革や、ダイバーシティ対応などを持ち出すまでもなく、従業員から見れば利便性が高い外部のサービスを利用するのは当然でもあるからだ。まだ不十分な企業は2016年の重要テーマの1つにするべきだろう。
2016年、企業ITに関わる重要テーマは何か--。ITコンサルティング会社のITRが2015年12月に発表した『IT投資動向調査2016』によれば、その1つが「モバイル対応」である。インフラ/デバイス分野への投資意欲を聞いた設問で、タブレットやスマートフォンはトップ2を占めた(図1)。
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主要ITテーマに関する設問でも、「スマートデバイスの業務への活用」は、やはり上位側に位置する(図2)。
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もちろんモバイル対応は決して新しいテーマではない。すでに多くの企業で営業部門などを中心にタブレットの活用が進んでいるし、スマートフォンを企業が配布しているケースもある。だが在宅勤務などワークスタイルの変革や、正社員以外も含めた多様な雇用形態への対応、あるいはウェアラブルデバイスのサポートといった点を考えると、「モバイル対応ができている」と言い切れる企業は少数派なのが現実だろう。
BYOD(Bring Your Own Device:私物端末の業務利用)のサポートも同様だ。従業員の生産性、創造性の発揮を考慮すれば、好みのデバイスを業務で使えるようにすることは重要なはず。今なおスマートデバイスは進化し続けており、企業による配布では利用者の要求に合わなくなる可能性が高いからだ。どんなデバイスや端末でもサポートする必要はないが、有力なものは私物端末でも、ある程度は使えるようにする必要がある。
もっとも、だからといってセキュリティの脅威が増す中で対策なしにBYODなどを解禁することはできない。