「最前線の動きを様子見して、後追いする戦略はもはや企業ITの世界では通用しない」─こう主張するのは米ガートナーのフランシス・カラモウジ氏(リサーチ部門 バイスプレジデント 兼 最上級アナリスト)だ。デジタルビジネス時代を見据えて、変革を起こせる企業と、そうではない企業の分岐点はどこにあるのかを聞いた。
デジタルテクノロジーの進化と普及が、ビジネスのあり方や、企業間競争の構図に多大な影響を与えている。これまでなかった事業モデルで頭角を現す新顔も続々と登場しており、こうした文脈でしばしば取り上げられるUberやAirbnbの話は、もはや食傷気味という向きもあるだろう。

ともかく、チャンスをものにしようと虎視眈々と準備を進めている企業がひしめいているのは事実だ。果敢なチャレンジはスタートアップ企業の専売特許ではなく、既存大手も手をこまぬくことなく行動を起こさなければならない。GEもまたよく話題に上るが、ここにきて自社ビジネスを再設計する動きは顕著である。今日はこうして取材を受けていることもあるので、メディアを手掛けている企業の興味深い取り組みを1つ例に挙げてみよう。
記事作成にスマートマシンを活用しようとしているAP通信の話だ。さまざまな分野のニュースをカバーする同社において、大手企業の決算に関する報道もまた重要な業務である。それを専門に担うリポーターを数多く抱え、四半期ごとに発表されるリリース資料などを元にサマリー記事を執筆していたのが従来の姿だ。
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