[新製品・サービス]

東電、日立、パナソニックがサービス事業者向けIoT基盤を開発

2016年11月8日(火)杉田 悟(IT Leaders編集部)

東京電力パワーグリッド、日立製作所、パナソニックの3社は2016年11月7日、住宅向けIoTプラットフォームの実証実験を開始した。直接ユーザーに向けたものではなく、IoTを活用した住宅向けサービスを提供する事業者向けのプラットフォームとなっている。

左から、日立IoT推進本部担当本部長の福岡昇平氏 東京電力パワーグリッド経営企画室室長の石川文彦氏 パナソニックAVCネットワークス社技術本部PLC事業推進室長の荒巻道昌氏

 3社は、電力や温度、湿度、部屋の明るさなどの環境センサーと、「ディスアグリゲーション技術」を搭載した電力センサーにより収集された住宅全体の電子使用データを組み合わせた新サービスの実証実験を行う。

 ディスアグリゲーション技術とは、住宅内にある家電製品の種類ごとの電気使用状況がわかる技術。全体の電気使用データを、テレビや洗濯機、電子レンジ、炊飯器など、家電製品の種類ごとに異なる電気の波形から判断して分離、どの家電製品がどれだけ電気を使用していたかがわかるようになる。

 このディスアグリゲーション技術を搭載した独自の電力センサーを東京電力パワーグリッドが開発、ここから得られるデータと環境センサーから得られるデータを組み合わせて収集、分析する。この仕組みをサービス事業者に提供する。

 分析基盤は、日立が開発する。イベンドリブンコンピューティングを駆使して、様々なデバイスから収集される形式の異なるデータを蓄積、分析する。イベントドリブンコンピューティング技術は、随時発生する処理要求をイベントとして適切な分散処理サーバーに分配、効率的な処理を実現する技術。

 パナソニックは、IoTの通信環境としてHD-PLCを適用させる。HD-PLCは、パナソニックが開発した高速電力線通信技術。2006年にスタートした技術で、電力線など既存のコンセントとメタル線を利用して高速通信を可能にするため、配線コストがかからず、メンテナンスしやすいネットワーク技術として注目されてきた。

 第3世代となり、IEEE 1901やITU-T G.9972などの国際標準に準拠、1つの端末から他の複数の端末にデータを飛び越えさせることで通信距離を伸ばすマルチホップ機能により長距離通信にも対応している。

 3社は、それぞれの技術を組み合わせて、サービス事業者向けのIoTプラットフォームを構築するための実証実験を行う。 具体的なサービスとしては、家電の使用状況などから判断する高齢者の見守りサービス、家電製品の故障などの予兆を検知するサポートサービス、電力センサーと環境センサーを活用した電気使用量見える化サービスなどを想定している。

実証実験の概念図(提供:東京電力パワーグリッド、日立製作所、パナソニック)
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 実証実験は2016年11月から2017年3月にかけて、関東圏の111戸で行われる。その後、サービス事業者を含めた大規模な実験を行ったのち、商用化する予定となっている。次の実験に参加するサービス事業者に対しては、今回の実験で得られたデータを、オープンデータとして提供する予定だ。

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