企業におけるデータ活用の重要性が高まるなか、その要ともなるBI(ビジネスインテリジェンス)ツールのニーズが急激に拡大しつつある。一方で課題となっているのが、組織全体に活用が広がらないという点だ。YellowfinのBIツールは、ビジネスプロジェクトに関わるすべての人がデータを拠り所に議論しアクションにつなげる環境を実現しようとしている。
意外と低いBIツールのユーザー利用率、その原因とは?
市場動向が激しく変化し、ビジネスにますますスピードが求められるようになっている。俊敏性を手に入れる上で重要となるのが、データに基づいて速やかに意思決定を下し、的確なアクションを起こしていく取り組みだ。多くの企業が「データドリブン経営」を標榜する中で、その中軸として重要な役割を担うBIツール(ビジネスインテリジェンス・ツール)に対するニーズも急激に高度化しつつあるのが昨今の状況だ。
しかしここで常に悩ましい問題に突き当たる。ビジネススピードを上げていくには、データを拠り所に「全社一丸」となる体制が不可欠なのだが、これまでの経緯を見る限りBIツールが業務の現場、言い換えるならば実務担当者が日常的に使いこなすレベルまでに浸透しないのである。BIツールの世界規模の調査である「BARC The BI Survey」によると、BIツールのユーザー利用率は過去20年以上にわたり実に12~20%という低い水準を彷徨い続けているのだという。
このような低い利用率となる原因は、多くのBIソリューションがビジネスユーザーのニーズを満たし切っていないことにある。数年前より話題となったセルフサービスBIも、主な利用者としてフォーカスしているのはデータの取り扱いを専門とするデータアナリストであり、その他多くの一般ビジネスユーザーは置き去りにされている感がある。企業において一般ビジネスユーザーが9割以上を占めることを考えれば、BIツールはまだごく一部でした機能していないのである。
BIツールの活用に関してもう一つ押さえておかなければならないのが、BIというのは分析の担当者のみならず、管理者や一般のビジネスユーザーまで広くあまねく使うべきツールであり、3者を全てサポートできる仕組みがない限り、その運用はうまくいかないという点だ。先のセルフサービスBIにしても、個人や小規模な部門での分析であれば有効ではあるものの、数百、数万人の規模となった場合には、乱立するソフトウェアや重複する分析結果によって効率が失われ、プロジェクト自体が破綻しかねないのである。
更なるコラボレーションを促し、100%のユーザー利用率を目指す
ユーザー利用率の向上や組織的な運用の実現といったBIにまつわる長年の課題を解決する、新しいタイプのBIベンダーとして注目を集めているのが、2003年にオーストラリアで創業した独立系のBIベンダー、Yellowfinである。同社はBIに関わる管理者、分析者、利用者の「3者」を一つのプラットフォームでサポートできるエンタープライズBIツールを開発し、「モダンBIプラットフォーム」を提唱している。ビジネスユーザーのワークフロー、アナリストのワークフロー、IT部門のワークフローの3つが相互に重なり合い、IT部門がガバナンスを効かせた環境で、アナリストとビジネスユーザーがコラボレーションしながらデータから知見を得ることができるのが、モダンBIプラットフォームの特徴である。
YellowfinでManaging Director - East Asiaを務める林勇吾氏は、「我々はこれからのBIのキーワードは“コラボレーション”だと考えており、ビジネスプロジェクトに関わるすべての人々が一緒に働ける仕組みとしてモダンBIプラットフォーム『Yellowfin』を市場に送り出しているのです」と強調する。
また、完全にWebベースという点も、他のBIツールにはないYellowfinの特徴だ。各業務システムのデータにアクセスして処理する部分はYellowfinのサーバー側で担うため、クライアント側に特別なソフトは不要で、ブラウザーさえあれば誰でも結果を見ることができる。クライアント環境を気にせずに済むため、ユーザー数が増えてもシステム面・運用管理面の双方で負担がかからない。
また、100%Webベースであることは、セキュリティ面でも大きな強みを発揮する。ユーザーが利用する場所や時間、デバイスを問わず、一定以上のセキュリティレベルを、ガバナンスを効かせた集中管理のもとで実現できるからだ。例えば、ユーザーごとにどのデータを見ることができるのかといったアクセス制御も、簡単な操作で設定可能だ。
万全のセキュリティのもと、Web上でリアルタイムにタスクを共有する仕組みをYellowfinは提供している。現状のタスクの進行度合いを可視化し、コメントやスクリーンショットなどと合わせて共有することで、各種データから得られた知見をより迅速にビジネスでのアクションへと移することができるというわけだ。
昨年3月にリリースされたバージョン7.2では、データ活用に関するコラボレーションを促す数々の機能が追加された。例えば新たに開発されたWebコネクターにより、GoogleAnalyticsやTwitter、Facebookなど、SNS上のあらゆるデータとつないで分析できるようになった。
「現状でもYellowfinのユーザー利用率は約4割あり、一般的なBIツールの利用率の約4倍と高水準ですが、我々が目指しているのは100%のユーザー利用率です」と、林氏は力強く訴える。
モダンBIプラットフォームは、“人とデータをつなぐプラットフォーム”へ――。一歩先のBIのかたちを具現化し続けることにこそ、Yellowfinの本質はあるようだ。
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