ソフトウェアのライセンス契約はこう結ぶ
2017年3月9日(木)Courtney Squires(米フレクセラ・ソフトウエア リージョナル・セールス&アライアンス・ダイレクター)
ソフトウェアの導入においては、多くの企業が初期投資額を中心に考えるため、ソフトウェアベンダーに対し数量割引を求める交渉が基本になっています。しかし実際には、ソフトウェアの導入においては初期費用以外の要素がいくつも絡んできます。この点を考慮すれば、より有利な交渉が可能になります。ソフトウェアの契約交渉におけるトップ10の交渉方法のうち、今回は5つを紹介します。
ソフトウェア資産管理(SAM:Software Asset Management)やソフトウェアライセンスの最適化に向けては多くのツールが提供されており、ほとんどの企業が何らかのツールを使ってソフトウェアを管理しているはずです。自社で利用しているライセンス数を正確に把握することで、ライセンス費用の最適化を図るほか、違法なソフトウェア利用の排除や、セキュリティの強化などに役立てられていることでしょう。
しかし、当社が実施した調査『2016 Key Trends in Software Pricing & Licensing Survey Report』によれば、企業の93%が「活用してないソフトウェアに支出している」ほか、30%の企業は「ソフトウェア支出の21%が遊休ソフトウェアに費やされている」と回答しています(図1)。企業のソフトウェア予算が概して横ばい、あるいは縮小傾向にあるにもかかわらず、多くの企業がかなりの費用を無駄に消化しているわけです。
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加えて、単に「Shelfware(シェルフウェア:使われていないか十分に活用されていない“棚ざらし”のソフトウェア)」に無駄なコストを投じているだけでなく、ソフトウェア契約のコンプライアンス違反だとして多くの企業がソフトウェアベンダーによる監査を受け、数十万から数百万ドルにものぼる「補正コスト」を負担していることも明らかになっています。調査会社の米IDCは調査レポート『IDC FutureScape: Worldwide Software Pricing and Licensing 2016 Predictions(Amy Konary、November 2015)』において「複雑なライセンス形態が間接的に企業のソフトウェア予算の25%ほどを無駄にしている一因でもある」としています。
なぜ、これほどに無駄な結果に陥っているのでしょうか。従来どおりのボリュームディスカウントを求めるライセンス交渉や「いつか使うかもしれない“バファ”を買っておけば監査に入られない」など様々な原因が考えられます。そもそもソフトウェアのような無形物を社内の隅々まで正確に把握することは難しく、ついつい見逃してしまいがちなことも背景にはあるでしょう。
こうした状況を脱し企業を守るためには、ソフトウェア調達の責任者が自社ニーズを踏まえながら、ライセンス条項を吟味し、無駄をなくした契約交渉に臨まなければなりません。一般に、ソフトウェアのライセンス契約における交渉のほとんどが、ライセンスコストの事前支払いと、そのディスカウントにのみ集中しています。財務部門のトップは、ライセンスコストを削減するために他に要素がないのかどうかを見直す必要があります。本稿では、ライセンス契約交渉において検討すべきポイントの中から、重要な考慮点を2回に分けてお伝えします。今回は、最初の5つを取り上げます。
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