ビジネスにおける意思決定に不可欠なデータ分析に際して、現場のユーザー自らがデータを迅速かつ柔軟に収集、利活用できる仕組みが求められている。そのための最適解として注目を集めているのが、「データ統合ハブ」と「企業情報カタログ」だ。インフォマティカのエバンジェリストが、「データマネジメント2017」のセッションで、その優位性と企業にもたらすメリットを解説した。
Data 3.0時代のデータマネジメントとは?
登壇したインフォマティカ・ジャパン セールスコンサルティング部のソリューションアーキテクト エバンジェリストである久國淳氏は、セッション冒頭で、「企業におけるデータマネジメントの流れを見た場合、ETL等を用いて複数のアプリケーション間でデータをつなぐ『Data 1.0』、単にデータをつなぐだけではなく、データを資産と捉えてデータ品質やセキュリティ管理、マスターデータ管理を行う『Data 2.0』を経て、現在、業務ユーザー自らがデータをビジネスで利活用できるようにする『Data 3.0』の時代が到来しています」と訴えた。
インフォマティカはIntelligent Data Platform というデータ統合プラットフォームのもと、データ統合ツールの「Power Center」やマスターデータ管理ツールの「MDM」といったデータ活用のためのソリューションを展開してきた。そうした中で、Data 3.0時代の到来を見据え、インフォマティカが提供しているのが、業務ユーザー自身がデータ活用を可能とするソリューション「Enterprise Information Catalog」と、データの流れに変革を起こす「Informatica Data Integration Hub」だ。
ユーザー間の容易なデータ共有を推進する「企業情報カタログ」
多くの企業においては、ユーザーが必要なデータを簡単に入手できず、IT部門に頼らざるを得ないなど、その取得に時間や手間を要しているのが実情だ。そうしたことから、ビジネスインテリジェンス(BI)や、データウェアハウスなどのツールが導入されていても、十分にデータの活用が行われていない、といった声が多々寄せられている。
「実際に、データ分析業務の80%は、データの検索や収集、クレンジング、変換といった分析を行う前の準備作業に充てられており、そのほとんどはIT部門に依頼して行ってもらっているが実情です。対して、データマネジメントの民主化を進めれば、それらの作業をユーザー自身で行えるようになります」(久國氏)。
データマネジメントの第一歩は、メタデータの管理と可視化、共有化である(図1)。対して、Enterprise Information Catalogは、多様な環境からメタデータを収集、カタログ化することで、ユーザーに共有化する。つまり、企業全体のデータ資産を可視化、業務ユーザーがセルフサービスでデータ利活用できる環境を実現するのだ。カタログ化の対象データも、一般的なデータベースやERPやCRMなどのアプリケーション、SaaS、レガシーシステム、BI、DWHなど、様々なリソースから自動的に取得可能としている。
久國氏は、「Enterprise Information Catalogを活用することで、IT部門に依頼せずとも、全社横断で必要なデータをユーザー自身が検索、最短距離で取得できるようになります。また、最大最小値、パターンといったデータの傾向、欠損、異常値、重複といったデータの品質を把握したり、データの来歴や行き先を辿ったり、さらには関連データなどのつながりも、すべて確認することが可能です」と説明する。
加えて、データ分析を行うための業務ユーザーによるセルフサービスでのデータ加工や、公開や共有に際してのプロジェクト管理、およびユーザー間でのコラボレーション、ステータス管理などの機能も提供する。
「データ統合ハブ」が柔軟なアプリケーション間のデータ連携を実現
現在、オンプレミス、クラウドとさまざまなアプリケーションが運用されている中で、社内のデータの流れがより複雑化している。システムの追加や刷新のたびにインタフェースを繋ぎ直さなければならず、障害が発生した場合の原因特定やリカバリも非常に煩雑化している。過去の仕様書を引っ張り出してきても、陳腐化しており役に立たないこともあるだろう。そうした問題に対して、「これからのデータ統合に求められるアプローチが『データ統合ハブ』である」と久國氏は強調、インフォマティカのInformatica Data Integration Hub(図2)の優位性について紹介した。
データ連携のアプローチには、主に(1)ポイントツーポイント、(2)ETL、(3)ESB/EAI、(4)Hub等がある。(4)に該当するInformatica Data Integration Hubは、データ連携を送信と受信に分けることで、システム間を疎結合化するとともに、データ連携の冗長性を排除し、運用管理を一元化できる点が特徴だ。これにより、データ連携における開発や運用の負荷を抑制し、ガバナンス強化を実現する。その期待効果として、業務ユーザーによるセルフサービスのデータ需給や、データ連携における複雑性の排除とエンドツーエンドによるデータの流れの可視化、そして、インタフェースの冗長性排除による開発・運用コスト削減と障害時の原因特定や復旧の迅速化、等が挙げられるという。
Informatica Data Integration Hubは既に多くの国内企業で導入実績を有しており、久國氏は、その一部を紹介。国内大手製造業における全社アプリケーション間データ連携、製薬会社によるMDMデータ集配信、自動車メーカーの分析用データブローカー等の用途で採用されているという。
久國氏は、「アプリケーションの再構築や分析環境の整備にあたって、また一から連携インタフェースを作り直そうとしていませんか。ハブ&スポークモデルに移行することで、より柔軟かつ効率的にデータをつなぐことが可能になるだけでなく、データの流通の可視化・モニタリングによりガバナンスの強化にも寄与するなど、さまざまなメリットを享受できます。データ連携におけるトレンドを把握するとともに、その実現に際して、市場にはすでに有効なテクノロジーやソリューションがあることを知って頂く機会となれば幸いです」と語り、セッションを締めくくった。
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