[市場動向]

業界の垣根を超えてセキュリティ人材を育成へ―経済産業省とIPAがセンター発足

2017年4月25日(火)杉田 悟(IT Leaders編集部)

2017年4月24日、都内で「産業サイバーセキュリティセンター」発足の記念式典が開催された。経済産業省主導で進められ、情報処理推進機構(IPA)が運営する同センターは、経産省の枠を超えた業界を巻き込んだセキュリティ人材育成施設となる。センター長には日立製作所の中西宏明会長が就任している。

 産業サイバーセキュリティセンターは、経済産業省が平成29年度に8億円の予算を付けた「産業系サイバーセキュリティ推進事業」の主要事業だ。2019年のラグビーワールドカップや2020年の東京オリンピック・パラリンピックなど、世界的なイベントを控えており、日本がサイバー攻撃の絶好の対象となることが懸念されている。一方で、以前よりセキュリティ人材の不足は指摘されており、その育成が喫緊の課題となっていた。

 そこで経産省では、高度なサイバーセキュリティ人材育成を国を挙げて行うことを決め、産業サイバーセキュリティセンターを設置することにした。IPAの2017年2月8日の発表によると同センターは、セキュリティ対策を経営課題として捉え、推進できる人材を育成するための教育プログラムの実施機関となっている。

 2017年7月に開始する1年間の教育プログラムを見据え、2017年2月20日より受講者の募集を開始、結果30社以上から約80名の第一期研修生が決まった。参加者の所属企業は、電力、ガス、鉄鋼、石油、化学、自動車など経産省所管の業種だけでなく、鉄道、不動産、空港、放送、通信など他省所管の業種にまで及んでいる。

 サイバーセキュリティ戦略の立案や経営リスク・財務リスク等の説明ができる人材、最新のサイバー攻撃のトレンドを捉えて対策立案に反映できる人材、実装するサイバーセキュリティ対策の安全性や必要技術、コストを理解して効率的な対策を導入できる人材を育成していく方針だ。

 IPAが公表している「中核人材育成プログラムの実施計画」によると、プログラムにはプライマリー(7―9月)、ベーシック(10―1月)、アドバンス(2―4月)、卒業プロジェクト(5、6月)の段階が用意されている。

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