日本IBMは2017年7月26日、都内で説明会を開き、メインフレームの新機種「IBM z14」の特徴を説明した。主な特徴として、性能に影響を及ぼすことなく全データをハードウェア暗号化できること、新たなストレージ接続インタフェースによってI/O性能を高めたこと、Javaアプリケーションを高速に実行する工夫を施したこと、などがある。IBM z14は7月18日に発表済みであり、9月13日の出荷を予定している。
IBM z14(写真1)の代表的な特徴は、性能の劣化なく全データを暗号化できること。既存モデル「IBM z13」と比べ、暗号化のための専用回路を4倍に高めたことなどにより、暗号化の性能を7倍に高めた。これにより、データベースの一部の項目といった限定的な使い方ではなく、システム上の全データを暗号化できるようになったとしている。暗号化キーも物理的なモジュールに格納して守る。
![写真1●IBM z14の実機](/mwimgs/6/1/400/img_61e50c137da8f830fad766717ae03264335573.jpg)
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新たなストレージ接続インタフェース「IBM zHyperLink」も搭載した。新設計の専用アダプタ間を光ファイバーで接続することによって、現行のファイバー接続でz13と接続した場合と比べて、レイテンシー(遅延時間)を10分の1に短縮し、アプリケーションの応答時間を50%短縮したとしている。
![図1●IBM z14の特徴(出所:日本IBM)](/mwimgs/0/9/600/img_094441d64e9d9d1d9af6ead42da065f2182208.jpg)
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ストレージI/Oの高速化によって、データベース管理システムの性能が向上するほか、ビッグデータ分析なども高速になる。さらに、データをロードするメモリーの容量も、z13の3倍となる32TBを搭載している。SIMD(Single Instruction Multiple Data)命令の拡張によって、並列処理も効率化している。
外部にWeb APIを公開してクラウドと連携する用途に向けて、Javaアプリケーションサーバーを高速に動作させるための工夫も施した。まず、Javaのコードを処理するために50種類以上の命令セットを新規に追加した。また、ハードウェアおよびソフトウェアの実装によって、使われていないオブジェクトをメモリーから開放するGC(ガベージコレクション)による停止時間を従来の10分の1に短縮したとしている。これを同社はポーズレスGC(停止しないガベージコレクション)と呼んでいる。