RPA(Robotics Process Automation)は今や、ビジネスIT界隈で最大の注目株といえる。問い合わせは引きも切らず、国内におけるRPAのメインプレーヤーである外資系コンサルティング会社の多くはRPA部隊の人員を増員して対応に当たっている状況だ。先に欧米で普及していただけに、当初導入されているほとんどのRPA製品は海外製品だった。しかし、ここにきて国産RPA製品が続々と登場し、マーケットを賑わせている。ここでは、次なるマーケット参入をねらう、日立製作所のRPAシステムを紹介する。
RPAソフトといえば、グローバルで2強といわれるBlue PrizmやAutomation Anywhere、UiPath、RPAテクノロジーズのBizRobo!に採用されたKofaxなどの海外製品が知られ、国内導入事例のほとんどが、これら海外製品によるものだ。
国産製品不在の状態で、多くの海外製品が採用されてきたが、NTTデータが2017年1月に国産RPAツール「WinActor」の専任部隊を設置したのを皮切りに、6月になって日立製作所が独自RPAツールを開発したことを発表、7月にはNECも「NEC Software Robot Solution」を発表するなど、国産RPAツールもようやく出そろってきた。
今回、6月に開発を発表した日立製作所のRPAツールについて、担当者に話を聞くことができた。まだ製品名が決まっていないこのRPAツール(開発コードネームは「出納RPA」)、開発に携わったのは東京・国分寺と横浜市戸塚区の日立の研究所の面々。ソフトウェア工学やOCRなどの研究者たちだ。
OCRの次の展開としてのRPA
ベースとなっているのは、帳票認識技術。研究所では約50年前から文字認識技術の研究を続けてきており、OCR分野で実績を残してきた。OCRの次の展開を考えている時に上司から告げられたのが「RPA」というキーワード。今もっともキャッチーなキーワードなだけに、自然な流れといえよう。
RPAツール開発にあたっては、10年ほど前に登場したウィンドウズパソコン向けツール「WinMacro」を活用した。WinMacroは、計算機の挙動=ユーザーの動きを捉えて挙動を再現することで作業の自動化を図るオープンソースソフトだ。マウス操作を再現するなど、RPAに通ずる機能を持っており、OCRとの組み合わせにより独自RPAツールのプロトタイプを短期間で完成させることができた。
日立の発表したニュースリリースでは、「AI技術を活用したRPAシステムを開発」となっているが、実際に開発したのはRPAツールそのものではなく、OCRで読み取った文字情報を申請者の入力情報と照合して承認判断を行う技術。業務フローのうち、申請者がパソコンから入力した情報と請求書などの帳票の情報を照らし合わせて承認に回せるかどうかを判断する「証票確認作業」を自動化するためのAI技術だ。
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開発したAI技術は、2つの機能で構成されている。
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