ネットアップは2017年11月7日、ラックマウント型の筐体をスケールアウト型で増設することによって仮想サーバー環境を増強できるアプライアンス製品「NetApp HCI」の受注と出荷を2017年10月28日に開始したと発表した。6月に発表済みの製品であり、今回出荷が始まった形である。いわゆるHCI(ハイパーコンバージドインフラストラクチャ)製品の後発製品に当たる。
NetApp HCIは、仮想サーバー環境をストレージを含めてスケールアウト型で拡張できる、いわゆるHCI製品の一種である。他の一般的なHCI製品と比べた最大の特徴は、仮想サーバーを動かすコンピューティングノードとストレージノードが独立しており、それぞれを自由に拡張できることである。例えば、データベースサーバーを動作させるためにストレージ性能を高める、といったことができる。
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これに対して、一般的なHCI製品は、クラスタを組んだ複数台のアプライアンスのそれぞれが内蔵するサーバー内蔵ディスクを、仮想サーバー上や仮想化カーネル内で動作する分散ストレージソフトによってプール化し、外部接続の共有ストレージに見立てる。仮想サーバーの処理能力とストレージ性能の組み合わせに自由度が少ないため、VDI(デスクトップ仮想化)などの用途には適するが、ストレージ性能を要求するアプリケーションなどには向かないケースもある。
2Uラックマウントのシャーシに4台のノードを自由に組み合わせて収容
NetApp HCIのハードウェアは、高さ2Uのラックマウント型のシャーシ(4スロット)に、4台のコンピューティングノードまたはストレージノードを収容する。最小構成は、コンピューティングノード1台とストレージノード2台を収容したきょう体を2台組み合わせた状態(コンピューティングノード2台とストレージノード4台)になる。
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増設時には、筐体の空いているスロットに、コンピューティングノードまたはストレージノードのいずれかを増設する。どちらを増設しても構わない。また、3台め以降のきょう体には、コンピューティングノードとストレージノードを任意の組み合わせで自由に構成できる。例えば、4スロットすべてストレージノードにできる。
さらに、構成の自由度を高めるため、コンピューティングノードとストレージノードともに、性能や容量を3モデルから選べるようにした。コンピューティングノードは、CPUコア数とメモリー容量に応じて、16コア256GB、24コア512GB、36コア768GBの3種類から選ぶ。ストレージノードは、搭載するSSDのサイズに応じて、480GB×6(実効容量5.5~11TB)、960GB×6(実効容量11~22TB)、1.92TB×6(実効容量22~44TB)の3種類から選ぶ。
SolidFireストレージを採用、VMごとにボリュームを作成しQoSをかけられる
ソフトウェア面では、コンピューティングノードで動作するサーバー仮想化ソフトはVMware ESXiである。一方、ストレージノードで動作する分散ストレージソフトは、同社の既存のストレージ機器「NetApp SolidFire」のソフトウェアを採用した。NetApp SolidFireの特徴は、スケールアウト型で利用できる点、ボリューム単位にQoSを設定できる点、インライン重複排除機能を備える点、などである。
NetApp SolidFireではさらに、VMwareの標準APIで仮想サーバー単位でストレージボリュームを使い分けられるようにする「VMware vSphere Virtual Volumes」(VVol)に対応している。VVolを介して仮想サーバーごとにボリュームを作成できるので、それぞれの仮想サーバー(ボリューム)が必要とする容量と最低保証性能(I/O毎秒)を設定できる。