日本企業のIT投資は、「攻め」へシフトする傾向に―電子情報技術産業協会(JEITA)は2018年1月15日、国内企業の「IT経営」に関する調査結果を発表した。IDC Japanと共同で実施した今回の調査、2013年に行った調査のアップデート版となるもので、2013年には日米で行ったが、今回は国内のみの調査となっている。対象は経営層を含むIT部門以外のユーザー企業社員で有効回答は333社。
JEITAが2013年に実施した「ITを活用した経営に対する日米企業の相違分析」では、「IT予算が増える理由」として「ITによる製品・サービス開発強化」や「ITを活用したビジネスモデル変革」など、ビジネスの成功や成長にITを活用した回答が多かった米国に対し、日本は「ITによる業務効率化/コスト削減」など内向きの回答が目立った。
JEITAでは米国型を「攻めのIT投資」、日本型を「守りのIT投資」とし、国際競争を勝ち抜いていくためには、日本企業も米国企業のように攻めのIT投資にシフトすべきと説いた。この調査結果は、経済産業省の「攻めのIT経営銘柄」でも用いられるなど業界に大きなインパクトを与え、「攻めのIT」「守りのIT」という認識を根付かせるに至っている。
前回の調査から約4年がたち、経済環境も大きく変化していることからJEITAは、再び同様の調査を行うことにした。前回の調査で米国企業は、極端に「攻めのIT投資」に振り切った結果が得られていたため大きな変化はないと判断、今回は国内企業のみの調査とし、比較対象を前回調査の国内企業に置いた。
回答者は経営者およびIT部門以外のマネージャー職以上を対象としており、企業規模は年商1兆円以上が27.9%、100億円未満が7.2%と大企業寄り、産業分野は製造業が約4割を占めたほかは、金融、流通、建設、サービスなどがほぼ均等に並んでいる。
IT投資はどれだけ重要か?
まずは、前回調査で日米格差が激しかった「IT投資の重要性」について。2013年に「きわめて重要」と回答した米国企業は実に75%。一方の日本企業はわずか16%に止まった。「どちらとも言えない」「あまり重要ではない」というネガティブな回答は米国ではわずか6%だったのに対し、日本は31%あった。
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2017年調査で「きわめて重要」と回答した日本企業は26%。前回の16%に比べると約1.6倍という高い伸び率を示した。とはいえ、米国の75%には及ぶべくもなく、まだまだ少ない数値に止まっていると言わざるを得ない。「とちらともいえない」「あまり重要ではない」というネガティブ回答は24%で微減といったところだ。
IT予算は増える?減る?
次に「IT予算の増減見通し」。今回「増える傾向にあると思う」と答えた日本企業は52%で、前回の40%から12ポイント上昇している。「減る傾向にあると思う」と回答した企業も今回5%で、前回の11%から6ポイント減少、確実な増加傾向が見て取れる。ちなみに2013年の米国企業は「増える傾向にあると思う」が80%、「減る傾向にあると思う」が1%だった。
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そして、「増える傾向にあると思う」と回答した企業について、その理由としてどのようなものが考えられるか3つまで選択してもらった。前回調査では、米国企業でもっとも多かったのが「ITによる製品/サービス開発強化」で41.0%、日本企業は「ITによる業務効率化/コスト削減」で48.2%だった。