日本企業のIT投資は、「攻め」へシフトする傾向に―電子情報技術産業協会(JEITA)は2018年1月15日、国内企業の「IT経営」に関する調査結果を発表した。IDC Japanと共同で実施した今回の調査、2013年に行った調査のアップデート版となるもので、2013年には日米で行ったが、今回は国内のみの調査となっている。対象は経営層を含むIT部門以外のユーザー企業社員で有効回答は333社。
逆に、米国企業で「ITによる業務効率化/コスト削減」と回答したのは16.7%、日本企業で「ITによる製品/サービス開発強化」と回答したのが22.4%。そのほか日本では「未IT化業務プロセスのIT化のため」や「定期的なシステム更新サイクル」など、内向きのIT投資が目立ったのに対し、米国では「ITを活用したビジネスモデル変革」「ITによる顧客行動/市場分析強化」などビジネス強化に関するものが多かった。
「攻め」と「守り」でチャート化
JEITAではこれらの理由のうち、ビジネスモデル革新や新製品開発、顧客開拓などビジネスを前に推し進めるものを「攻めのIT」、既存システムの保守や業務効率化などこれまでの流れを踏襲したものを「守りのIT」とし、チャート化している。
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チャート図では、「攻めのIT」を右寄りに、「守りのIT」を左寄りに配しているが、レーダーの形を見ると米国は明らかに右、日本は左にボリュームゾーンが偏っていることがわかる。このレーダーチャートが、日米のIT投資の性質の違いを明らかにしたものとして、業界にインパクトを与えたのだ。
今回の調査の結果はどうだったのか。もっとも多かったのは、相変わらず「ITによる業務効率化/コスト削減」だったが、値は32.8%に下がっている。働き方改革推進で多くの企業が業務効率化に向いていることを考慮すると、大分抑えた数値といえる。また、前回わずか1.2%だった「新たな技術/製品/サービス利用」が27.6%と大幅アップ、12.9%だった「ITを活用したビジネスモデル変革」も21.3%まで増加している。
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これらの回答傾向を前回のチャートに当てはめると、米国ほどではないにせよ、ボリュームゾーンが明らかに右寄り、つまり「攻めのIT投資」寄りになっていることがわかる。「新たな技術/製品/サービス利用」が米国並みの数値を記録するなど、歩むスピードは遅いながらも、日本企業のIT投資が確実に「攻め」側に向かっていることは確かなようだ。