レッドハットは2018年1月17日、コンテナ技術を生かしたマイクロサービス環境に向けて、サービスを実行するために必要となる最小限の機能に特化してフットプリントを軽量化したランタイム(実行)環境「Red Hat Openshift Application Runtimes」を発表した。ランタイムのサイズは、Javaアプリケーションサーバーの場合で100Mバイト程度になるという。価格(税別)は、2コア版の標準サブスクリプションで12万8700円から。
Red Hat Openshift Application Runtimesは、Dockerコンテナを使ったPaaSクラウド基盤ソフト「Red Hat OpenShift Container Platform」において、サービス単位でコンテナ化する際に便利な、軽量のランタイム(アプリケーション実行環境ソフト)である。
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1個のランタイムと1個のサービス(機能)を組み合わせてコンテナ化することによって、1個のランタイム上に複数のサービスが同居するケースと比べて、個々のサービスの単位でデリバリ(配信)のスピードを高められるようになる。
ここで、今回新たにリリースした軽量型のランタイムの特徴は、サービスの実行に必要な機能に限っていることである。通常のランタイムを使ってサービスを構築する場合と比べて、サービスを小型化・軽量化できる。
軽量型のランタイムの種類としては、JavaアプリケーションサーバーやJavaアプリケーション開発フレームワークなどを多数用意した。例えば、JBoss EAP、WildFly Swarm、Eclipse MicroProfile、Eclipse Vert.x、Node.js、Spring Bootなどを利用できる。
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粒度の細かい小型のサービスを組み合わせて全体の処理を構成するマイクロサービスの考え方が広まっている。米Red Hatのアプリケーションプラットフォームビジネスグループでプロダクトマネージメントシニアディレクターを務めるRich Sharples氏は、こう指摘する。
「デプロイするまで、コードにはビジネス価値はない。マイクロサービスによって、新機能やセキュリティへの対応といったソフトウェアのデリバリを迅速化できる。新規に開発するアプリケーションだけでなく、既存のアプリケーションのモダナイゼーション手段としてもマイクロサービスが使われている。JBoss顧客の66%がマイクロサービスを使っている」(Rich氏)。
OpenShift新版ではAWSのサービスも構成可能に
軽量型のランタイムの提供に合わせ、PaaS基盤のRed Hat OpenShift Container Platform側に、サービス間の依存関係を管理する機能を追加した。これを用いて開発することによって、複数サービスで構成するシステムを開発しやすくなる。
Red Hat OpenShift Container Platformの新版(3.7)ではまた、AWS(Amazon Web Services)の各種サービスにアクセスし、AWSのサービスをOpenShiftから構成・デプロイできるようにした。リレーショナルデータベースのAmazon RDSやオブジェクトストレージのAmazon S3など各種サービスを構成・デプロイできる。
- Amazon Simple Queue Service(SQS)
- Amazon Relational Database Services(RDS)
- Amazon Route 53
- Amazon Simple Storage Services(S3)
- Amazon Simple Notification Service(SNS)
- Amazon ElastiCache
- Amazon Redshift
- Amazon DynamoDB
- Amazon Elastic MapReduce(EMR)
富士通とも協業を強めた。富士通のクラウドサービスであるFUJITSU Cloud Service K5上で、Red Hat OpenShift Container Platformを提供する。