[イベントレポート]

ハイブリッドクラウドは前提に、コンテナは必須に―レッドハットと顧客のデジタルシフト

Red Hat Summit 2018

2018年5月21日(月)河原 潤(IT Leaders編集部)

2018年5月8日~11日、米カリフォルニア州サンフランシスコで、米レッドハット(Red Hat)の年次ユーザーイベント「Red Hat Summit 2018」が開催された。そこで語られたのは、同社最新のオープンソース戦略とポートフォリオ、先進ユーザーの実践、そしてエンタープライズITを駆動するオープンソース技術自体の価値だ。これらの内容から、業務アプリケーションの開発・実行基盤とITインフラ管理基盤に対するユーザーの観点となすべきアクションを考えてみる。

「エンタープライズの重心にオープンソース」

 レッドハットが創業してから今年で25周年となる。テクノロジーの進化とユーザーを取り巻く環境の変化の中で、注力分野・製品の移り変わりはあれども、四半世紀の間、一貫してエンタープライズ市場向けのオープンソースソフトウェア製品を作り続けてきたのが同社だ。今では年間29億米ドル(約3215億円、2018年会計年度)を売り上げる、世界有数のITベンダーとなっている。

 レッドハットと言えば、長らくRed Hat Enterprise Linux(RHEL)のベンダーとして世に知られてきた。もちろん今でもそうなのだが、近年は後述する「オープンハイブリッドクラウド」のベンダーを標榜している。2011年の「Red Hat OpenShift」、2013年の「Red Hat OpenStack Platform」のリリースを機に、OSからプラットフォームやクラウド基盤に軸足を移している。RHELは全ポートフォリオの共通基盤の位置づけで、近年はRed Hat Summitのような場において、RHEL自体がアピールされることはほとんどなくなってきている。

写真1:レッドハットの製品・技術統括を統括するシニアバイスプレジデントのポール・コーミア氏は、ITモデルの遷移を振り返り、「今やオープンソースはエンタープライズコンピューティングの重心である」と語った

 レッドハットの全製品・技術を統括するシニアバイスプレジデントのポール・コーミア(Paul Cormier)氏は、基調講演のステージで、25年間のコンピューティングの遷移を振り返った(写真1)。かつて、サン・マイクロシステムズ(Sun Microsystems)やディジタル・イクイップメント(Digital Equipment Corporation:DEC)といった大手ハードウェアベンダーが市場を牽引したUNIXコンピューティングを経て、1990年代にLinuxが台頭し、最初のオープンソース革命が起こる。2000年代に入るとオープンソースはエンタープライズITの世界で広がりを見せていった。

 「もう1度、コンピューティングのパラダイムが変わる。オープンイノベーションを目指す際、オープンソースはエンタープライズコンピューティングの重心(center of gravity)となる」とコーミア氏。クラウドコンピューティングが広範に普及したこと。かつてのUNIXマシンよりもはるかに高性能なx86ハードウェアリソースが安価に手に入り、しかもベアメタル(Bare Metal)サービスというかたちで、クラウドと同じように調達できるようになったこと。そのような環境の下、目的に合う適切なテクノロジーを選んで活用すれば、「だれもがデジタルシフト、デジタルディスラプションを経験する」(コーミア氏)というのが今である。

写真2:Red Hat Summit 2018の会場となったモスコーニセンター・ウェスト。主催者発表で世界7000人の参加者を集めた
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