デジタルトランスフォーメーションの潮流で、その基盤を提供するクラウド/データセンター業界が活況だ。数年続いた大都市型データセンターの新設ラッシュが少し落ち着いてきた感があるが、増設・増床のペースは緩んでいない。また、地方都市/郊外型データセンターは市場規模の伸びで都市型を上回る。市場予測では2021年にクラウドがコロケーションを追い抜く見通しだ。企業のIT部門におかれては、この分野の動向を押さえることで、オンプレミスと外部データセンター/クラウド基盤の組み合わせて形成される自社ITインフラの構築・利用方針の策定に役立てていただきたい。
デジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation:DX)が国内企業の間でも不可避の潮流となった。取り組みの中心は多種多様なデータの高度活用であり、データの格納・管理基盤を担うITインフラは、DXイニシアチブの起点・源泉と位置づけられる。国内のデータセンター/クラウドサービス事業者は、多数のユーザーに選ばれるITインフラを提供すべく、事業モデル自体のクラウドシフトやデジタル時代の付加価値を急速に推し進める必要がある。
施設は緩やかに増加し、ビジネスはハイペース成長が続く
「データセンター」と一口に言っても、その規模や形態はさまざまだ。数で言えば9万のデータセンターがあるという。これはIT市場調査会社IDC Japanが行った2015年末時点での拠点数カウントで、うち国内の事業者が商用で運営するデータセンターが593カ所、企業がIT基盤として自社運用するデータセンターが8万544カ所(サーバールームのような小規模な施設も含む)となっている。本稿で言うところのデータセンターは前者、商用を指し、以下で動向を詳しく確認してみたい。
IDCは、データセンター施設の物理的な増減を示す延床面積も年次で調査している。同社によると、2016年末時点の国内データセンターの総延床面積は203万3540㎡で、向こう5年間は年平均1.6%増のペースで緩やかに伸び、2021年には220万319㎡に達すると予測している(図1)。
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物理的な延床面積の伸びが緩やかなのは、ITインフラ機器(サーバー/ストレージ/ネットワーク)およびデータセンター内のラック集約化の進行も影響している。一方、データセンター関連ビジネスの伸びはハイペースが予測されている。IDCは、2017年の国内データセンターサービス市場規模を前年(2016年)比で7.2%増の1兆1780億円と算出。向こう5年間、年平均8.1%増のペースで成長して、2021年には1兆6230億円規模に達すると見積もっている。
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