みずほ銀行は、海外法人向けネットバンキング「みずほGlobal e-Bankingシステム」の継続的な開発プロジェクトに、システム開発のテスト工程を省力化する「CA Service Virtualization」を導入した。人手で50時間かかっていたテストを2時間に短縮できた。ツールを販売したCA Technologiesが2018年9月18日に事例を公開した。
みずほ銀行は、海外法人向けネットバンキングシステム「みずほGlobal e-Bankingシステム」を継続的に開発している。今回、この開発プロジェクトに、システム開発におけるテスト工程(結合テスト)を省力化するソフトであるCA Service Virtualization(旧称はCA LISA)を導入し、テスト工程を効率化した。
CA Service Virtualizationは、テスト対象のシステムから見て接続先となる、データベースやWebサービスなどの実システムを模倣することによって、仮想的な結合テスト環境を構築するソフトである。あたかも実システムのように振る舞う模倣システムを実現できる。模倣システムにリクエストを投げると、実システムと同様にレスポンスが返ってくるので、実システムを用意することなく結合テストができる。
パラメータを変えながら数多くのテストパターンを実施するケースにおいて、特に効果が大きい。みずほ銀行では、CA Service Virtualizationの実際の効果として、大規模開発における影響確認テストの工数が、従来と比べて半分程度に削減できた。また、既にシナリオがあるプロジェクトでは、人手で50時間かかっていたテストを2時間に短縮できた。
単調な工程を自動化することで、エンジニアのストレス削減とモチベーションの向上にも貢献したとしている。テスト工程は同じような作業の繰り返しになりがちだが、自動化や効率化によって、人材を引き付ける職場につながる。
テストシナリオはレコーディングで生成、再利用も容易
テスト工程を省力化する背景についてみずほ銀行は、法人向けのネットバンキングサービスの競争が激化しており、継続的なサービス品質の向上、新サービスの迅速な市場への投入が求められていることを挙げる。「常に開発プロジェクトが進行しており、特に多くの工数を割いているテスト工程の効率化が避けられない」(同社)。
みずほ銀行は、2017年春に、テスト工程を効率化する複数の製品を検討した。検討の結果、CA Service Virtualizationを選定した。選定理由の1つは、テストシナリオの作成が容易なことである。テストと並行してシナリオを作成できるほか、作成したシナリオを再利用できる。
CA Service Virtualizationでは、テストシナリオを作成する際に必要なリクエストとレスポンスを、ネットワークパケットをキャプチャして取得できる。やり取りしているパケットからテストに必要なデータを抽出し、実システム同様の振る舞いができるサービスを生成する。
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