富士通研究所は2018年9月20日、説明会を開き、現在開発中の2つの新技術を発表した。ビッグデータを高速に処理するための分散ストレージ技術「Dataffinic Computing(データフィニックコンピューティング)」と、データの出どころや加工履歴などデータの成り立ちを示す来歴情報を確認できるようにする技術「ChainedLineage(チェーンドリネージュ)」である。2018年度から2019年度にかけて製品化する。
富士通研究所は、説明会を開き、現在開発中の2つの新技術を発表した。ビッグデータを高速に処理するための分散ストレージ技術「Dataffinic Computing(データフィニックコンピューティング)」と、データの出どころや加工履歴などデータの成り立ちを示す来歴情報を確認できるようにする「ChainedLineage(チェーンドリネージュ)」である。2018年度から2019年度にかけて製品化する。
Dataffinic Computingは、ビッグデータを高速に処理するための分散ストレージ技術である。SDS(ソフトウェア定義型ストレージ)において、ストレージに保存したデータを処理する際に、ネットワーク経由でデータを転送しなくてもよいようにする。ストレージノード間や外部サーバーへとデータを転送する必要がないため、データの処理を高速化できる。
図1:分散ストレージ上で大量データを高速処理する技術「Dataffinic Computing(データフィニックコンピューティング)」の概要(出典:富士通研究所)拡大画像表示
「Dataffinic Computingにおいては、分散ストレージを構成する個々のストレージは、データを処理するサーバーでもある。データ処理ソフトは、外部ストレージからデータを転送してくることなく、ローカルストレージのデータを利用して高速に処理する形になる」(富士通研究所)
同技術の構成要素に、ストレージに書き込むコンテンツに合わせてデータを分割し、それぞれのストレージノードへと分散配置する技術「コンテンツアウェアデータ配置」がある。これにより、データ処理時にデータをストレージノード間で転送する必要がなくなる。
もう1つの構成要素に「アダプティブリソース制御」技術がある。これは、個々のストレージノードの負荷を予測して、これからデータ処理ソフトを動作させるタイミングで負荷が高くなるノードを避け、負荷が低いノードを選んでデータ処理ソフトをプロビジョニング(配備)して実行する仕組みを持つ。
Dataffinic Computingを搭載したSDS製品は、2019年度中に富士通が製品化を予定する。提供形態(ソフトウェアやアプライアンスなど)は未定。
データの出どころや加工履歴を確認できる仕組みを構築
ChainedLineageは、データの出どころや加工履歴といったデータの成り立ちを示す来歴情報を、企業をまたがって確認できるようにする技術である。個人データの利用に同意しているかどうかを管理する機能も提供する。これらにより、安心してデータを利用できるようにする。
図2:データの出どころや加工履歴といったデータの成り立ちを示す来歴情報を企業をまたがって確認できるようにする技術「ChainedLineage(チェーンドリネージュ)」の概要(出典:富士通研究所)拡大画像表示
例として、運転履歴データを基に、個人にカスタマイズした自動車保険の提供を挙げる。データの来歴を辿ることによって、保険料の算出に使われたデータ群を特定でき、保険料が通常よりも高い場合に原因を調べられる。別の例に、患者の診療データを病院から大学経由で創薬メーカーに渡して新薬を開発するといったデータチェーンの安全運用がある。
ChainedLineageを実現する要素に、データの来歴情報を企業をまたがって統合する技術がある。ブロックチェーンの取引履歴に、各社の加工履歴を統合して格納する。2019年度の実用化を目指し、今後データ利活用シーンにおけるフィールド実証実験を進めていく予定である。
もう1つは、企業をまたがって個人データの同意状況を管理する技術である。ブロックチェーン上に共通して使える同意ポータルを用意する。個人データを使う場合は、同意ポータルによって本人の同意を確認し、同意済みのデータだけを送信する。同機能は、2018年度中の実装を目指す。
デジタルアニーラや説明可能なAIの活用事例も紹介
写真1:富士通のCTOで富士通研究所の代表取締役社長である佐々木繁氏拡大画像表示
説明会では、2つの新技術に加えて、富士通研究所の直近の研究内容や成果について発表した。
富士通研究所が取り組んでいる事例として、“デジタルアニーラ”を活用したトロント大学の例や、AIの判定結果の根拠を人間に説明できる“説明可能なAI”を活用する京都大学の例などを紹介した。
トロント大学の事例は、組み合わせ最適化問題を高速に解くデジタルアニーラを、先端がん治療に活用する取り組みである。京都大学の事例は、ゲノム解析データベースの分野で、説明可能なAI技術を活用する取り組みである。
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