[イベントレポート]
コンテナ、サーバーレス/FaaS、イベントドリブン―アジリティ実現のための重要テクノロジーを理解する
2018年10月10日(水)田口 潤(IT Leaders編集部)
日本でもようやく関心が集まるようになったコンテナ技術や、その大規模稼働を可能にするKubernetes。そしてサーバーレス/FaaSやイベントドリブンアーキテクチャ。米ピボタル・ソフトウェア(Pivotal Software)が2018年9月に開催した「SpringOne Platform 2018」では、まだ聞き慣れない技術や概念も含め、アプリケーション開発・実行技術領域の最先端でイノベーションが起きていることが示された。目指すのはビジネスや事業のアジリティをいかに高めるか、である。
「アプリケーションの開発・実行をサポートするさまざまな技術は、単にエンジニアの生産性を高めたり、アプリケーションの開発期間を短縮したりするだけではない。ビジネスや事業のアジリティ(Agility:俊敏性、変化対応力)を可能にする方向へ進化している」。米ピボタル・ソフトウェア主催の「SpringOne Platform 2018」において取り上げられた技術トピックを俯瞰すると、こんな姿が浮き上がる。
技術トピックとは、最新のPaaS(Platform as a Service)、コンテナ技術やそのオーケストレーションツールなどのサービス実装・実行技術と、サーバーレスアーキテクチャやFaaS(Function as a Service)、あるいはイベントドリブンアーキテクチャ(Event Driven Architecture:EDA)といった、これからのアプリケーションに必要な考え方などだ。
なぜ今、ビジネスや事業のアジリティ向上が求められるのか
個々の技術トピックについては後で述べるとして、なぜ、「ビジネスや事業のアジリティ」が必須なのか――。企業を取り巻く環境や顧客ニーズは目まぐるしく変化し、デジタル技術も急ピッチで進化する。自らが確立した事業への挑戦者がいつ、どんな形で登場するかは予測できない。そうであるなら、ビジネスのアジリティを高めること、すなわち、ビジネスの中核になりつつあるアプリケーションのアジリティを高めることが決定的に重要である。
こう考えると、SpringOne Platform 2018の事例編(関連記事:米空軍、ボーイング、DBS銀行…世界の大手企業・組織がCloud Foundryやアジャイル開発に挑む理由)で示したように、官僚組織の典型と思える米空軍やボーイングのような巨大組織がソフトウェア開発・実行環境の刷新に乗り出している背景も理解できる。
少々分かりにくいかもしれないので、別の表現を紹介しよう。デンソーでMaaS(Mobility as a Service)開発部長とデジタルイノベーション室長を兼務する成迫剛志氏は、今年10月4日開催のITR Trend 2018のステージで、アジャイル開発/オープンソースソフトウェア(OSS)/PaaSについて次のように語った。
「重要なのはアイデアの実現力、アジャイル開発の能力である。それがないと時間やコストがかかるという理由でアイデアの段階で止まってしまう。だからアジャイルの能力、OSSを活用する能力を備える。ディスラプター(Disruptor:破壊者)を研究すれば必然的に導かれる結論だ」
企業にアジャイル開発を促進してきたピボタル
次ページの表1に、SpirngOne 2018で語られた主な技術トピックをまとめた。以下では、「ビジネスや事業のアジリティ」を可能にする技術とはどのようなものかをそれぞれ見ていく。
●次ページ:SpringOne Platform 2018で語られた主要な技術トピック(技術・概念・手法)
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