富士通ビー・エス・シーは2018年10月15日、無線LANの電波を活用してオフィスの空間状況を可視化するシステムの研究を開始したと発表した。この一環として、オフィス内の人の動きやドアの開閉などを検知するシステムをプロトタイプとして開発した。今後、システムとしての操作性の向上を図り、商用展開を目指す。
富士通ビー・エス・シーは、無線LANの電波を活用してオフィスの空間状況を可視化するシステムの研究を開始した。今回開発したシステムの特徴は、専用のセンサーやカメラなどを用いることなく、オフィス空間状況を可視化できることである。米Origin Wirelessが開発した技術で、無線LANの電波を活用して空間を把握する「Time Reversal Machine」技術を応用した。
拡大画像表示
Time Reversal Machine技術では、無線LANの電波の変化を解析し、ここから得られた空間情報を可視化する。空間上で発生した人の動きや、ドアの開閉などの変化を可視化できるとしている。これにより、オフィスの受付や会議室、リフレッシュルームなど様々な空間の利用状況をリアルタイムで把握できる。
また、これらのデータを保存し、1時間ごとの利用率やドアの開閉回数をグラフで表示できる。オフィス空間の分析ツールとして役立てることが可能である。
研究の背景として同社は、多くの企業で、IoT技術を活用して会議室やシェアオフィス、トイレなどの利用状況を可視化・分析する動きの高まりを挙げる。「この一方で、空間を把握するためには多くのセンサーやカメラなどのデバイスを最初に設置する必要があり、初期導入費用が高くなるという課題があった」(同社)。