ServiceNow Japanは2018年10月17日、国内初となるデータセンターを、NTTコミュニケーションズの「Nexcenter」上で開設したことを発表した。東京と大阪に同時開設し、2019年春からサービス提供を開始する。
ServiceNowは、ITサービスマネジメントをはじめ、人事、カスタマーサポート、グループウェア機能まで、さまざまな業務アプリケーションを単一プラットフォームから提供するクラウドサービスプロバイダー。99.9996%を超える可用性と月間100億トランザクションを超える高いスケーラビリティに耐えうるインフラと、多くのクラウドサービスのデータセンターとして利用されてきた実績、ネームバリューなどを鑑みて、ServiceNowの国内データセンターとしてNTTコミュニケーションズが選ばれた。
ServiceNowでは、北米×3、南米×1、欧州×3、APAC×2にそれぞれ2カ所ずつのペアで合計9ペア18カ所のデータセンターを構えている。今回の東京と大阪がAPACで3ペア6カ所目、グローバルで10ペア20カ所目のデータセンターとなる。DevOps担当シニアバイスプレジデント兼エンジニアリング担当責任者のパット・ケーシー氏(写真1)は「基本的に日本企業が利用することを想定しているが、海外に拠点を置く企業が利用することも可能な環境になっている」としている。
今回、NTTコミュニケーションズのデータセンターサービス「Nexcenter」を採用するにあたって両社は、協業体制を強化した。従来は、NTTコミュニケーションズだけが利用できるセルフホスティングの形でデータセンターを使用していたが、今回は他のベンダーも利用できるパブリックなプラットフォームとして提供される。
NTTコミュニケーションズでは、インフラの提供に先んじてServiceNowの社内導入も敢行、その成果を発表した。
ServiceNowの共通クラウドプラットフォームであるNow Platformからアプリケーションとして提供されるHR Service Deliveryは、人事関連業務向けのサービス。NTTコミュニケーションズでは、パートナー企業から多くの技術者が「入社」してくる。そのたびごとに入退室管理や社員証の発行などを、多くのプロセスを経て行う必要があった。
HR Service Delivery導入により入社に係わる複数のプロセスを自動化し、入社と同時に各リソースを同時配布できるようにした。これにより、年間24000時間以上の改善に成功したとしている(図1)。
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また、クラウドサービスの保守システムでは、故障検知、切り分け、アクション決定、復旧対処、復旧通知といったプロセスの組み合わせを手動で行っていた。ServiceNowのE2Eオーケストレーターというツールを導入することで、AIを活用した迅速な状況把握、対応が可能になり、故障検知から復旧までの所要時間が15分から1分へ短縮できたとしている(図2)。
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NTTコミュニケーションズは、2種類のソリューションモデルでServiceNowを外販する。「運用アウトソース」は、顧客のICT運用の一環としてServiceNowを適用するマネージドサービス。アプリケーションのアジャイル開発に対応し、社内業務の標準化にServiceNowを活用できる。「ITSM Solution」は、ServiceNowにNTTコミュニケーションズのナレッジを組み込んだIT運用標準化サービス。運用アウトソースは、すでに提供開始しており、ITSM Solutionは2019年からのサービス開始を予定している。