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30年ぶりの新製品「InterSystems IRIS データプラットフォーム」とは?
2018年11月1日(木)工藤 淳(フリーランスライター)
インターシステムズジャパンは2018年2月、統合データ処理基盤「InterSystems IRIS Data Platform(以下、IRIS:アイリス)」の提供を開始した。同社によれば、“あらゆるデータ形式を扱えるデータベース“だという。とはいえ、データベース製品が林立する中、「いったい何が違うのか」と首をかしげる読者も少なくないはずだ。IRISは具体的にどのような機能やアドバンテージを備えているのか? IRISの戦略的パートナーであるウルシステムズの漆原茂氏がインターシステムズの技術陣に率直に聞いた。(本文敬称略)
多種多様なデータをそのまま扱える画期的な“データベース”
漆原: IRISは私たちが大好きな製品の一つです。製品としての完成度も高いし、何より面白い。ただ、初めての方には少々イメージがつかみにくい部分もありますよね。IRISとはどんな製品なのか、簡単に紹介してもらえますか。
堀田: IRISは、当社が30年来提供してきたオブジェクトデータベース「InterSystems Caché(キャシェ)」をエンジンとして発展・進化させたものです。最大の特長は、「マルチモデル対応」であること。RDBが扱うようなリレーショナルデータはもちろん、オブジェクトやJSONなどスキーマを持たないデータも格納できます。
漆原:どんなデータでも扱えると。具体的にはどんな仕組みなんですか?
佐藤:あえて大雑把に表現するとKVS(Key Value Store)です。データ識別子のKeyと値であるValueを関連付けて保管するシンプルな構造です。だから、スキーマがあるデータもないデータも保管できます。それをBツリー構造で多次元化しています。
ポイントはデータへのアクセス手段をいくつも用意している点です。SQLでアクセスすればRDBのように扱えます。オブジェクトアクセスならオブジェクトデータベースとして使える。データモデルは1つですが、アクセス方法によって見え方が違うわけです。
漆原:RDBではデータモデルをきっちりと定義して、データを整然と格納していきますよね。IRISはそうしたイメージとはちょっと異なっていますね。
佐藤: RDBの出発点は「データを再利用できるように保管しておこう」というアイデアです。一方、IRISは「変数を永続化して、どんなプラットフォーム上でも読み書きできたら便利なのでは?」という発想からスタートしています。変数はスキーマを持たない不定形のデータのこともあれば、ファイルかもしれない。とにかくメモリー上にあるデータをそのままデータベースで処理できるようにしたい。そんな考えを追求したのがIRISです。
漆原:IRISの魅力の1つは、多種多様な形式のデータを“そのまま”扱える点です。通常、システムはオブジェクト指向的に作っていくわけですよね。ところがデータを格納する段階でRDBが扱えるかたちに変換しなければならない。O/Rマッピングでデータ形式を変換し、SQLで入出力する必要がある。IRISを使えば、こうした手間がなくなる。技術者から見てもとてもスマートだし、ユーザーにとっても便利この上ないですね。
佐藤:IRISではスケーラビリティを強化しました。ネットワークキャッシングを用いた分散技術であるECP(Enterprise Cache Protocol)とシャーディングを組み合わせてデータベースを分散配置、負荷の増大に合わせてシステムをスケールアウトできるようになっています。プログラムを書き換えることなくシステムの負荷増大に対応できます。
「データ駆動型ビジネス」など変動要素の多いデータベースに最適
漆原:IRISのメリットを特に実感できるのはどんな用途ですか?
佐藤:いわゆるデジタル化の領域はIRISの強みが活きると思います。既存業務の効率化と違って、新たなビジネスモデルを作り上げる過程において、正解はわからず試行錯誤が必要となります。データの属性が目まぐるしく変わる。時間を追って変化していく。こうしたデータもIRISであれば一元的に扱えます。現代のビジネスユーザーにとって大きなメリットだと自負しています。
岩本:SQLなどの汎用的な言語を利用できるのもポイントです。
漆原:なるほど。データ構造を柔軟に変えつつ、使い慣れたSQLでデータを扱える。RDBベースの開発経験しかない人でも、いろいろなアプリケーションにチャレンジできますね。
岩本:おっしゃる通りです。それこそまさに私たちの提唱している「マルチデータモデル」です。また、開発者のスキルセットにしばられることなく、業務の要件に合わせて様々なデータを扱えるようにする。より多くの技術者に使っていただくため、Java、.NET、JavaScript、Pythonなどさまざまな開発言語からネイティブで扱えるよう対応を進めています。
漆原:Cachéは医療分野で利用実績がありました。IRISはいかがでしょうか?
佐藤:医療向けには、今年10月に世界初の医療特化型データプラットフォーム「InterSystems IRIS for Health」を発表しましたが、医療以外でもIRISの導入は進んでいます。もちろん、データ構造が複雑な医療データベースはIRISが真価を発揮する領域です。しかし、今後は医療分野以外での展開を重点的に進めていきます。
堀田:例えば金融分野。米国ウォール街の投資銀行のオーダーマネジメントシステムで導入実績があります。大量の取引データを高速に書き込みつつ、SQLを使って定型的な処理クエリを次々に発行する。さらにリアルタイムで長中期の分析も実行する。「分析機能を備えた高性能トランザクション管理システム」が、金融のプロから高い評価を獲得しています。
漆原:実は当社もデリバティブのシステム開発でIRISを使った経験があります。サクサク動いて実に気持ち良いですね。データの自由度が高く、しかも高速に処理するとなると、NoSQLに行き着きがちです。ところが一般的な KVS だとselectできないし、RDBだとjoin(結合:複数テーブルからの検索)が遅い。IRISはそこをよく作りこんでいますね。
堀田:トランザクションと分析を同時に処理できる点を評価するお客様は増えています。例えば、デリバリーの迅速化が要求されるネットショップから引き合いが増えています。
漆原:短時間で多品種・多属性を扱うビジネスはIRISの得意分野ですね。
堀田:はい。物流システムでは商品管理から配送まで一連の業務をシームレスに結ぶ必要があります。実際にモノが動くために即時性を要求される部分ではKVSを活用し、ERPやサービスレイヤとの連携にはSQLやRESTを使う。一元化されたデータに対して、マルチモデル、マルチワークロード対応ができるのはIRISだけであると、お客様から高く評価されています。
佐藤:少し変わったところでは、軍艦の機器制御ソフトウェアを開発しているスペインの造船会社があります。多様なセンサー機器などから6万5千以上のリアルタイム信号データを含む膨大なデータを制御管理しています。従来はRDBを利用していましたが、この膨大なデータの処理で運用も難しくなってしまった。IRISを使うことでそれを解決し、さらにその後の追加プロジェクトの開発期間が半分以下に削減できたそうです。
開発言語のサポート拡大、最新版と安定版のクラウド提供、分析ツールとの連携強化
漆原:今後IRIS はどんな方向へ発展していくのでしょう。
佐藤:1つは IRISの基本コンセプトの1つである「フリーダム オブ チョイス」の強化です。SQLやJava、.NET、JavaScriptといった主要な言語はもちろん、開発者が好みの言語で使ってもらえるように対応言語の充実を推し進めていきます。
岩本:また、これまで以上に短いスパンでバージョンアップを行います。イノベーションを取り込んだ最新版を常に利用いただけるようにします。もちろん、安定運用の担保にも配慮しています。「最新版と安定版」の双方をクラウド上で提供する体制を2018年度中には整える予定です。分析ツールとの連携も強化していきます。
漆原:インターシステムズジャパンは外資系ベンダーですが、日本国内ですでに15年以上の実績を持っています。技術サポートも手厚い。エンタープライズ領域のニーズもよく把握している。ミッションクリティカルな領域でも安心して利用できる製品だと思います。エッジの利いたビジネスに挑戦されているお客様はぜひ一度、試していただきたいですね。
一同:今日は貴重なお話をありがとうございました。
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