データが企業の重要な資産と認識されるようになった現在、そのデータからビジネス価値を得るのに欠かせないのがBIツールだ。BIツールにもさまざまなものがあり、選定を間違えると業務効率に悪影響を及ぼしかねない。100円ショップ「ザ・ダイソー」を展開する大創産業は、主要BIツールを比較検証した結果、AWSの「Amazon QuickSight」を選定し活用している。2018年12月に開かれたAWSの説明会で、ダイソーの担当者が、他社製品との比較をどう実施したのか、コストはどのくらいかかったのかなどBIツール選定の経緯について詳しく語った内容をお伝えする。
ダイソーが、約2カ月間という短い構築期間で導入した「Amazon QuickSight」。AWSが提供するBI(ビジネスインテリジェンス)クラウドサービスだ。AWSの説明会で、同社情報システム部 システム開発1課 課長の丸本健二郎氏が、既存のBIツールからQuickSightに移行した経緯をたっぷりと語った。
以前、ダイソーは、BI環境としてオンプレミスで「QlikView」を利用していた。だが、5270店舗で7万商品を扱うダイソーの膨大なデータ量がたたって、処理スピードが遅い、データベースの膨大なデータの一部しかQlickViewに取り込めないといった問題に直面する。
「全部チェンジしろ」の一声で新たなBIツールの選定に
社内で1番のハイスペックマシンで挑んだにもかかわらず、処理が重い。そのためオンプレミスは断念して、インフラをクラウドに移行することにした。豊富な実績を評価して、クラウドはAWSに決めていたが、経営陣から「どうせ変えるなら全部チェンジしろ」と檄を飛ばされていたため、QlickViewの継続利用は断念、AWS上で稼働させるBIツールを新たに探すことになった(図1)。
拡大画像表示
候補は、ガートナーのMagic Quadrantで、QlickViewとともに常にリーダーに選ばれているマイクロソフトの「Power BI」と「Tableau(タブロー)」。すでにインフラがAWSに決定していたため、この時点でPower BIは選考外となった。最終的にAWSとの事例も多く相性が良さそうなTableauを選定、早速PoCに入ることになった。
「狙うべくはハイパフォーマンス」(丸本氏)ということで、ETLサービスの「AWS Glue」と、Amazon EC2にTableau Desktop層、Tableau Server層という構成を組んで処理を行ってみたが、思ったようなパフォーマンスを得ることはできなかった。そこでDWH層にAmazon Redshiftを組み込む構成を検討することにした(図2)。「この構成こそがAWSでTableauを利用する場合のデファクトスタンダードだと教えられた」(丸本氏)。
拡大画像表示
●次ページ:自社に最適なBIツールを選ぶためにダイソーがやったこと
会員登録(無料)が必要です
- 1
- 2
- 3
- 次へ >