[市場動向]

NTTデータ、量子アニーリングの実機を使って適合性や性能を検証するサービス

2019年1月25日(金)日川 佳三(IT Leaders編集部)

NTTデータは2019年1月25日、量子コンピュータの検証施設を開設し、性能の検証を支援するサービスを開始すると発表した。まず、量子アニーリングマシンの実機を用いた性能の検証などを支援するサービスを開始した。今後は、量子ゲート方式についても順次サービスを提供する予定である。

 NTTデータは今回、量子ゲート方式や量子アニーリング方式などの次世代コンピュータの活用方法を提案し、業務要件に基づいた検証・評価を行うサービスを開始した。まず、組み合わせ問題を高速に解く量子アニーリング方式を中心にサービスを開始する。

 量子アニーリングマシンを開発しているベンダーの協力の下、実機を用いて検証を行い、最も効果的な活用方法を提案する。検証可能な量子アニーリングマシンの例として、日立製作所の「CMOSアニーリングマシン」、カナダD-Wave Systemsの「D-Wave 2000Q」、富士通の「デジタルアニーラ クラウドサービス」、NTTの光イジングマシン「LASOLV」がある。

 量子アニーリング方式のマシンを活用するためには、数理最適化技術に基づく独特の定式化を行う必要がある。また、対象となる問題や業務要件に合わせて、各社のマシンを使い分ける必要がある。今回のサービスでは、量子アニーリングマシンを業務に適用できるかどうかの評価、数理最適化における定式化、実機を用いた性能検証、を中心に支援する。

 サービスの具体的なイメージは、表1のとおり。(1)上流工程の検討、(2)マシン選定、(3)実機検証、(4)オーナーズデモ開発、(5)量子コンピュータセミナー、(6)トライアル支援、の6つで構成する。

表1:量子アニーリングマシンの検証サービス
上流工程の検討 業務・サービス要件における実問題に対し、分析フローを整理し、量子アニーリング等の適用可否を精査する。適用可能な場合は、数理最適化問題のパターン(ルート最適化、スケジュール最適化など)に落とし込み、解ける形に変換する。また、検証観点を整理し、検証計画を立案する
マシン選定 量子アニーリングなどのマシンには、量子ビット数などの仕様に違いがある。対象とする問題のサイズや構造、求める精度などの要件をもとに、適したマシンを選定する
実機検証 実問題を実機に投入し性能を評価する。業務・サービス要件と照らし、有用性を確認する
オーナーズデモ開発 導入イメージを把握するため、量子アニーリングなどのマシンによる処理機能を組み込んだプロトタイプシステムを開発する
量子コンピュータセミナー 量子コンピュータおよび次世代アーキテクチャのマシンがどのような問題に適用できるか、どのような特徴があるか、使う上での留意点などの把握を目的に、基礎から導入例まで幅広いセミナーを行う
トライアル支援 検討の初期段階にあるユーザーに対し、使い方や特性を把握するための試験的な評価を実施する

 NTTデータでは、量子アニーリングマシンの典型的なユースケースとして、経路最適化(物流の最適化など)、機械学習(画像処理への適用など)、ポートフォリオ最適化(金融取引・投資判断など)、スケジューリング問題(シフト最適化など)を挙げている。

 今後、NTTデータは、これまで高速化が困難だった問題を短時間で解くことができると期待されている量子コンピュータおよび次世代アーキテクチャの計算力を生かし、金融業界や交通・物流業界、製薬・化学業界など各種の分野において、2020年度末までに20件のサービス提供を目指す。

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