[市場動向]

複数事業者のドローンを衝突を避けて安全に運航させる実証試験、NEDOなどが実施

2019年3月1日(金)日川 佳三(IT Leaders編集部)

国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)とベンダー各社は2019年3月1日、同一空域で複数事業者のドローンが安全に飛行するための運航管理システムの実証試験を実施したと発表した。開発した機能が正常に作動することを確認した。実証試験は、「福島ロボットテストフィールド」(福島県南相馬市)で実施した。

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、同一空域で複数事業者のドローンが安全に飛行するための運航管理システムを開発し、実証試験を実施した(図1)。900メートル×600メートルの範囲に離着陸場を8カ所設置し、災害調査、警備、物流、郵便という4つの利用シーンを想定し、10機のドローンを15分程度の時間にわたって飛行させた。実証試験を通じて、運航管理システムが正常に作動することを確認した。

図1:運航管理システムにおける飛行状況管理画面(イメージ)(出典:国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、福島県、福島県南相馬市、NEC、NTTデータ、日立製作所、NTTドコモ、楽天、KDDI、ゼンリン、一般財団法人日本気象協会)図1:運航管理システムにおける飛行状況管理画面(イメージ)(出典:国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、福島県、福島県南相馬市、NEC、NTTデータ、日立製作所、NTTドコモ、楽天、KDDI、ゼンリン、一般財団法人日本気象協会)
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 実証試験では、複数ドローンの飛行計画の調整、および飛行中のリアルタイムでのドローン位置情報管理を、人の手を介さず自動的に実施した。例えば、気象観測装置のデータを基に、安全な風速環境であることを確認した上で離陸させた。飛行計画の調整については、警備ドローンの飛行経路と災害調査ドローンの飛行経路が重複していたため、警備ドローンの飛行経路の変更を指示して重複を解消した(図2)。また、物流ドローンと郵便ドローンの離着陸場が近かったため、郵便ドローンに着陸時間を遅らせる指示をした。

図2:飛行経路図(出典:国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、福島県、福島県南相馬市、NEC、NTTデータ、日立製作所、NTTドコモ、楽天、KDDI、ゼンリン、一般財団法人日本気象協会)図2:飛行経路図(出典:国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、福島県、福島県南相馬市、NEC、NTTデータ、日立製作所、NTTドコモ、楽天、KDDI、ゼンリン、一般財団法人日本気象協会)
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 実証試験の背景についてNEDOは、高密度でドローンが飛び交う世界では、運航管理システムが必要になることを挙げる。「衝突などの危険を確実に回避するため、すべての機体の飛行計画と飛行状況を掌握し、ドローンの運航を統合的に管理する必要がある。さらに、気象情報や地形、建物の3次元地図情報をドローン事業者に提供する必要がある」(NEDO)。

 今回、福島県と福島県南相馬市の協力の下、2019年2月25日~2月28日にかけて、南相馬市復興工業団地内の福島ロボットテストフィールドで実証試験を実施した。プロジェクトの参加メンバーは、NEDO、NEC、NTTデータ、日立製作所、NTTドコモ、楽天、KDDI、ゼンリン、一般財団法人日本気象協会、である。

 今回開発した運航管理システムは、運航管理統合機能、運航管理機能、情報提供機能の3機能で構成する。これらの機能が、協調的に動作する仕組みである。運航管理システムの全体設計は、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)が担当した。

 運航管理統合機能は、複数事業者のドローンの運航計画を共有するための機能である。各ドローンの飛行経路や離着陸場が重複することを回避する。運航管理機能は、飛行計画の作成や申請、飛行状況の監視などの機能である。情報提供機能は、空域の3次元地図や気象情報などを提供する機能である。

 なお、今回の試験は、2017年11月22日にNEDOと福島県が締結したロボット・ドローンの実証などに関する協力協定に基づく取り組みの一環である。2020年度以降は、運航管理システムの普及に向けて、NEDOのプロジェクトに参画していないドローン事業者でも実証試験を実施できるように、運航管理システムのAPIを順次公開する予定である。

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