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[データマネジメント2019]

AIを使いこなし、価値を生み出そう!――データ利活用によるビジネス変革

2019年4月2日(火)

データ活用の切り札として関心が高まる人工知能(AI)。ただし、その活用で成果を上げるには克服すべき課題も少なくない。そうした中、AIの知見とノウハウで、すでに多くの実績を上げているのが日立製作所である。「データマネジメント2019」のセッションでは、日立製作所のサービス&プラットフォームビジネスユニット デジタルソリューション推進本部で主管技師を務める浅見真人氏が、AI活用の心得を説く。

AIを使いこなせるか否かが企業の将来を分ける

 人工知能(AI)は、判断/予測能力を飛躍的に高める深層学習(ディープラーニング)の登場によりビジネス変革の台風の目となった。用途は、「画像・音声認識」から「予測・判断支援」「計画立案・最適化」「対話・検索・自動応答」まで広範かつ、今後10年で処理速度が1000倍も向上することで、“賢さ”が加速度的に増すことも確実視されている。それらを勘案すれば、AIを使いこなせるか否かが企業の将来を大きく分けると言っても過言ではないだろう。

課題に合わせて、さまざまなAI技術を活用する

 多くの企業が活用に向け試行錯誤の最中にある。そうした状況にあって、「Hitachi AI Technology/H」をはじめとした様々なAI技術による提案で、多くの実績を上げているのが日立製作所だ。

例えば、とあるホームセンターはHitachi AI Technology/Hを活用し、販売状況、顧客や店員の動きなどのデータから、顧客単価向上との相関関係がある店員の配置を発見、顧客単価の15%向上を成功させている。また、壁のクラックや手すりのさびなどの状況を、深層学習によって画像認識精度を上げ、自動検出することで、インフラ点検作業の大幅な効率化を実現した事例もある。

日立のAI「Hitachi AI Technology/H」

AIで成果を上げるための3つのポイント

日立製作所 サービス&プラットフォームビジネスユニット デジタルソリューション推進本部 主管技師 浅見真人氏

 こうした経験を踏まえ、日立製作所のサービス&プラットフォームビジネスユニット デジタルソリューション推進本部で主管技師を務める浅見真人氏は、「AIで成果を上げるには3つのポイントがあります」と指摘する。

 1つ目は、AI活用の目的を決める「フレームの明確なデザイン」だ。AIは機械であり、分析の自発的な目標/手法設定までは不可能。その点を踏まえ、“何を”目的に“どの”データを“どのように”分析するかについては、人が責任を持ち判断する必要があるという。

 2つ目は、AIの使い方を具体的に決める「人や社会の価値としてのデザイン」である。AIの使い勝手を判断するのは最終的には人だ。である以上、優れたAIかどうかの判断基準は、「機能の優劣でなく、人や社会に必要とされているかどうかです」(浅見氏)。必然的に良いAIに仕上げるには、人や社会の経験にどれだけ寄与するか、つまり経験価値の視点を基にした判断が必要となる。

 3つ目は、「最適なAI選択」だ。一口にAIといっても、AIは用途ごとにいくつにも分類でき、用いられる技術も異なる。種類によって分析結果も大きく変わるため、その判断も非常に重要だ。このうち、特に技術者が苦手とし、AI利用の“壁”となりやすいものが「人や社会としてのデザイン」なのだという。

AIで成果を上げるための3つのポイント

「技術には、条件を達成できるか否かで“正解”があります。対して経験の良し悪しは人の主観に左右されるため絶対の正解はありません。だからこそ、AI活用を成功させるには心情の理解に長けたデザイナーと技術者との協業が欠かせません」(浅見氏)

AI活用にはデザイナーと技術者の協業が欠かせない

デザイナーの視点をサービスに取り込んだ

 この点を踏まえて日立製作所が提供するサービスの1つが、従来、熟練者の経験やノウハウに頼っていた各種の計画業務をAIで支援する「Hitachi AI Technology/計画最適化サービス」だ。その特徴は、デザイナーの視点をサービスに取り込んでいることにある。

 具体的には、技術者の知見を基に、ビッグデータからこれまで意識されていなかった計画パターンを発掘。併せて、現場へのヒアリングを基にデザイナーが業務を掘り下げ、明文化されていない制約条件も抽出することで、計画業務の最適化につなげるのである。

「Hitachi AI Technology/計画最適化サービス」の2つのアプローチ

 AIにデザイナーの知見を掛け合わせた成果の代表例として浅見氏が紹介したのが、駅の混雑情報を知らせるスマホアプリだ。同アプリでは、撮影された映像からAIが人とその動きを認識。そのうえで、人を簡単なイラストに置き換えるデザインの工夫により、カメラ映像を基にリアルタイムかつ、プライバシーにも配慮を払った混雑状況の配信を可能にしているのだ。

浅見氏によると日立製作所では、カメラ映像からの個体やその動線の抽出だけではなく、服装や持ち物、動きなど、約100の特徴を分析する技術の研究を進めている。「同じ監視カメラの映像を利用したとしても、AI技術の選択や、経験の切り口から用途をいくつも開拓できるのです」(浅見氏)

豊富なノウハウを基に経験価値を協創する

 日立製作所では、ユーザーの経験価値を創出する手法を「Exアプローチ」として体系化。同アプローチでは、日立のコンサルタントや技術者、デザイナーと現場社員との協創を通じて、現状認識、あるべき姿の見極め、その実行計画の立案までを順を追って支援する。

ユーザーの経験価値を創出する手法

 そのためのデジタルツールも、業務現場の観察から当事者も気づかないノウハウや問題を抽出する「エスノグラフィ調査」や、ユーザーの経験を可視化し議論を可能にする「ExperienceTable」、ステークホルダー間で相反しがちなKPIとその影響の因果関係を可視化し、改善策の効果を定量的に把握する「経営課題分析」など、豊富に用意されている。

 Exアプローチの採用企業の1社である三井不動産の関西支店は、生活や働き方などのニーズをいち早く捉えることで、オフィスをより快適にする新サービスの開発に日立製作所と共同で取り組み、すでに少なからぬ成果につなげているという。

 最後に浅見氏は、「ユーザーの関心はITを使うことではなく、ITで課題を解決することにあります。中でもAIは今後を嘱望されるITであり、そのノウハウやユースケースを豊富に蓄積する当社であれば、お客様とともに、その価値をより早く、安全に、しかも大きく引き出すことが可能です」と強調して話を締めくくった。


 

 

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