SAPジャパンは2019年4月2日、2019年度におけるパートナーエコシステムの重点施策を発表した。現在、パートナーエコノミーの市場規模が今後5年で2倍になるという予想の下、グローバルでパートナーエコシステムの構築/拡大に力を入れている。2019年度は「デジタルエコシステム統括本部」「デジタルビジネスサービス事業本部」を中心に、国内のパートナーコンソーシアム活動を活性化させ、パートナーによる「SAP Intelligent Enterprise」の顧客への提案を拡大していきたい構えだ。
顧客企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を支援し、SAPが提唱する「SAP Intelligent Enterprise」への理解を深めてもらう。その実現には、SAPだけでなくパートナー、そして顧客企業自身も含めたデジタルビジネスのエコシステム構築が必要──こうした考えの下で設立されたのが、デジタルエコシステム統括本部である。同組織はパートナーエコシステムの成長拡大とオープンイノベーションの促進を図るため、2019年度の重点施策として以下の3つを掲げている。
(1)SAP「パートナーサクセスプログラム」の提供開始
(2)パートナーによるIntelligent Enterprise提案の加速
(3)Business Innovators Networkのさらなる活性化:変革を具体化/実現するオープンなコミュニティ
パートナートレーニングがより実践指向に
(1)のパートナーサクセスプログラムは、パートナーの事業計画からデリバリーに至るまでのエンドツーエンドなプロセスをSAPが支援するプログラム。今回は特に「OJTを加速させるための実践型ワークショップを新規に提供するなど、これまでのパートナートレーニングにおける現実的な課題を解決するメニューを強化している」(SAPジャパン バイスプレジデント チーフ・トランスフォーメーション・オフィサー兼デジタルエコシステム統括本部長 大我猛氏、写真1)とのことで、ここが大きな特徴となっている。
(2)のIntelligent Enterprise提案の加速においては、その中核ビジネスである「SAP S/4HANA」と「SAP Leonardo」のパートナーが活動しやすくなるよう、これまで分かれて活動してきた「SAP S/4HANAパートナーコンソーシアム」と「SAP Leonardoパートナーコンソーシアム」が「Intelligent Enterpriseパートナーコンソーシアム」という1つの組織に統合される。
2018年度はそれぞれのコンソーシアムが積極的な会合や事例紹介を行い、特にSAP Leonardoコンソーシアムはコマツ、NTTドコモ、オプティムと組んだIoTプラットフォーム「LANDLOG」の成功が記憶に新しい。単なるSAPパートナーという枠組みを超え、顧客企業のコマツが中心となり、SAPが提唱するデザインシンキングの下で、「具体的な"未来の建設現場"を描く」(大我氏)ためのプラットフォームを協力して立ち上げたことは、日本企業発のDXという視点から高く評価されている。
2019年度はIntelligent Enterpriseを支える2つのコンソーシアムが1つになることで、さらに幅広い顧客層へのリーチを狙う。
(3)のBusiness Innovators Networkは2018年3月にSAPジャパンが発表した異業種コミュニティで、事業の規模や内容を問わず、さまざまなタイプの企業がコラボレートし、新たなイノベーションを創出することが狙い。LANDLOGのような事例を今年も生み出すことが期待される。
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