朝日新聞社は、SD-WAN(ソフトウェア定義型広域ネットワーク)を導入し、2019年3月から運用している。シスコシステムズのSD-WAN製品「Cisco SD-WAN」(旧Viptela製品)を採用し、全国54拠点にSD-WANのエッジルーター機器を配備。本社のデータセンターを介することなく拠点から直接インターネットと通信できるようにした。7割の拠点で体感速度の向上を実感しているという。ネットワークインテグレーター(NIer)のネットワンシステムズが2019年7月24日に発表した。
朝日新聞社はこれまで、全国の拠点から東京本社のデータセンターまたは大阪本社のデータセンターを介してインターネットに接続していた。しかし、Web通信のリッチコンテンツ化などによって通信量が増えて帯域が逼迫したことにより、クラウドサービス上の業務で体感速度が低下していた(図1)。
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今回、シスコシステムズのSD-WAN製品「Cisco SD-WAN」(旧Viptela製品)を導入し、本社、支社、総局などの全国54拠点のアクセス回線を拡張した。本社のデータセンターとつなぐ閉域網と、クラウドサービスを利用するためのインターネット網を同時に使えるようにした。アクセス先に応じて閉域網とインターネットを自動で切り替える。インターネット接続時のセキュリティについては、クラウド型のセキュリティサービスを介すことで確保した。
拠点から直接インターネットにアクセスできるようにしたことで、7割の拠点で体感速度の向上を実感しているという。
朝日新聞社は今後、クラウドサービス「Office 365」の全社導入を予定している。これに伴うクラウドへの通信量の増加は、拠点からインターネットへの直接接続で吸収できると見込む。また、拠点同士をフルメッシュ型で相互に接続しているため、拠点間でのビデオ会議などのコラボレーションツールの利用拡大も見込んでいる。