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インテルがFPGA新製品「PAC D5005」を市場投入、音声テキスト化や映像変換に利用可能に

2019年8月26日(月)日川 佳三(IT Leaders編集部)

インテルは2019年8月26日、説明会を開き、FPGA(Field Programmable Gate Array、論理回路を現場で書き換えられる半導体チップ)の新製品「インテルFPGAプログラマブル・アクセラレーション・カード(PAC) D5005」を発表した。既存製品と比べてメモリー性能を高めており、AIによる音声のテキスト化や映像の変換などに向く。PCサーバーのPCI Expressバスに接続して使う拡張カードの形状で提供する。

 インテルのFPGAカード「PAC D5005」は、最初の市場出荷として日本ヒューレット・パッカード(HPE)が2019年8月29日に受注を開始する(写真1)。PCサーバー機「ProLiant DL380」のオプションとして、「インテルStratix 10 SX FPGAアクセラレータ」の名称で販売する。HPEが設定する定価(税別)は、221万円。順次、DL380以外のPCサーバー向けにも提供する。

写真1:「インテルFPGAプログラマブル・アクセラレーション・カード(PAC) D5005」(写真手前)と、FPGAカードを搭載したPCサーバー機「ProLiant DL380」(写真奥)写真1:「インテルFPGAプログラマブル・アクセラレーション・カード(PAC) D5005」(写真手前)と、FPGAカードを搭載したPCサーバー機「ProLiant DL380」(写真奥)
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 FPGA PAC D5005は、既存のFPGAカード「インテルArria 10 GX」と住み分ける。既存製品のメリットは、新製品よりも消費電力を抑えられること。一方、新製品の主なメリットは、搭載するメモリーの容量が大きく、メモリー性能が高いこと。既存製品では処理できなかった用途として、音声のテキスト化や映像の変換といったニアメモリーの容量が必要な要件に使えるようになった。

 インテルでは、機械学習を用いたオープンソースの音声テキスト化エンジンを実行した結果も示した。FPGA(PAC D5005)とGPU「NVIDIA Tesla V100」でそれぞれ実行し、結果を比較した。これによると、FPGAとGPUの実効性能はほぼ同じだが、FPGA(34.9ワット)はGPU(216ワット)と比べて6分の1の消費電力で済んだという。

ワークロードに合わせて1秒で論理回路を書き換え可能

 FPGAカードは、PCサーバーのCPUを補完するアクセラレータ装置である。金融計算やAIの学習・推論、映像の変換など、特定の処理をCPUによるソフトウェア処理からFPGAへとオフロードすることで、システム全体の処理能力が高まる。FPGAを使うための開発環境は、インテルが無料で提供している。

 特定の処理を高速に実行する半導体チップには、ASIC(特定用途向けIC)もある。しかし、ASICを1から設計・製造すると、コストも時間もかかる。FPGAなら、汎用のFPGAと開発環境のソフトウェアを用意すれば利用を開始できる。また、論理回路を現場で切り替えて運用できるメリットがある。

 用途に応じて論理回路を書き換えられる点が、データセンターに向くとしている。「時分割で切り替えて使える」と、インテルでプログラマブル・ソリュージョンズ営業本部事業開発マネージャーを務める山崎大輔氏はアピールする。FPGAの回路は1秒程度で書き換えられるという。

 例えば、日中はWebトランザクション処理を高速化する回路に、夜間はバッチ処理を高速化する回路に切り替えられる。もっと短い間隔では、AI処理で利用するニューラルネットワークの種類に応じて、それぞれに適した回路へと切り替えるといった使い方もできる。

●Next:FPGAの広範な適用範囲

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