Arcserve Japanは2019年8月28日、イメージバックアップ製品「Arcserve Unified Data Protection」(Arcserve UDP)を活用したクラウド型のデータバックアップサービスを発表した。オンプレミスのArcserve UDPをクラウドにレプリケーションできるサービス「Arcserve UDP Cloud Hybrid」と、エンドポイントのデータを直接クラウドにバックアップできる「Arcserve UDP Cloud Direct」である。
Arcserve Japanの既存製品「Arcserve UDP」は、データバックアップソフトである。専用のエージェントソフトをインストールしたバックアップ対象マシン(Windows、Linuxなど)を、OSを含めたシステムイメージ全体で丸ごとバックアップする。特徴は、前回のバックアップ時からの差分だけを転送する増分バックアップや、バックアップ対象側でのデータ重複排除など、バックアップ量を短縮する機能に注力していること。
今回、Arcserve UDPの機能をクラウド上で提供し、データをクラウドにバックアップできる新サービスを2つ用意した(図1)。Arcserve UDP Cloud Hybridは、Arcserve UDPのデータレプリケーション先となるクラウドサービスである。Arcserve UDP Cloud Directは、バックアップ対象マシンから直にアクセスしてデータをバックアップできるクラウドサービスである。
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いずれのクラウドサービスも、バックアップ用ストレージの容量に応じたライセンスを採用した。バックアップ対象マシンの台数や転送データ量などには依存せず、バックアップ用ストレージの容量に対して、1TB単位で年額課金する。バックアップ容量の追加も1TB単位で可能である。「シンプルに使えるようにした」と、Arcserve Japanで営業統括部シニアパートナーアカウントマネージャを務める中田皓介氏(写真1)は指摘する。
受注開始時期は、Arcserve UDP Cloud Directが2019年8月28日、Arcserve UDP Cloud Hybridが2019年9月中旬である。発注から利用開始までの所要日数はDR用の仮想マシンを用意せずにバックアップサーバー/ストレージだけを用意した場合に、Arcserve UDP Cloud Directが2営業日、Arcserve UDP Cloud Hybridが7営業日。
オンプレミスのバックアップデータをクラウドに複製
Arcserve UDP Cloud Hybridは、オンプレミス環境にArcserve UDPを導入済みのユーザーを対象としたサービスである。Arcserve UDPで管理しているバックアップ済みデータを、クラウド(Arcserve UDP Cloud Hybrid)側にレプリケーション(複製)する。データの複製についても、変更点だけを転送する増分バックアップができる。
クラウドにデータを複製しておけるため、オンプレミス環境のシステムに障害が発生しても、クラウドからバックアップデータを戻すことができる。さらに、クラウドをDR(災害復旧)サイトとして使うこともできる。バックアップ済みのデータを使って、業務サーバーなどを仮想マシンとしてクラウド(Hyper-V)環境で立ち上げられる。立ち上げた業務サーバーに対して、VPN経由でアクセスできる。
データを保管するデータセンターは、国内に用意した。東日本リージョン(東京都多摩地区)と、西日本リージョン(大阪市)の2拠点から選べる。このうち、仮想マシンを立ち上げてDRサイトとして運用できるのは東京リージョンだけである。バックアップサーバー1台あたりのバックアップ容量は、東京リージョンが1T~120TB、西日本リージョンが4T~16TB。
価格(税別)は、東日本リージョンの場合、バックアップストレージ1TBあたり年額19万2000円で、仮想マシンが1台(vCPU×1、メモリー4GB)あたり年額6万3000円。西日本リージョンの場合、バックアップストレージの最小構成4TBが年額81万6000円で、追加ストレージ1TBあたり年額20万4000円。
エンドポイントから直接クラウドにバックアップするサービス
Arcserve UDP Cloud Directは、バックアップ対象マシンを直接クラウドでバックアップできるサービスである。Arcserve UDP Cloud Direct専用のエージェントソフト(Windows、Linuxなど)をバックアップ対象にインストールして使う。データを保管するデータセンターは、米国西海岸にある。
バックアップデータは、オンプレミスのArcserve UDP同様に、増分バックアップでクラウドに転送する。エージェントとクラウドはSSLで暗号化通信する。クラウド上ではAESで暗号化して保存する。バックアップデータからは、ファイル/ボリューム単位で復元できる。
クラウドをDR(災害復旧)サイトとして使える。バックアップ済みのデータを使って、業務サーバーなどを仮想マシンとしてクラウド(Hyper-V)環境で立ち上げられる。立ち上げた業務サーバーに対しては、VPN経由でアクセスできるほか、オプションでIPv4アドレスを付与してインターネットに公開できる。
価格(税別)は、バックアップストレージ1TBあたり年額36万円。仮想マシンは、1台(vCPU×1、メモリー4GB)あたり年額9万円。追加オプションのActive Directoryサーバーは年額30万円。追加オプションのIPアドレス(IPv4グローバルアドレス付与)は年額30万円。