2019年8月の3本:AWSで大規模障害/日本マイクロソフトが業種別事業展開/あいおいニッセイ同和損害保険がマルチクラウドを採用した事故対応サービス
2019年9月11日(水)松岡 功(ジャーナリスト)
2019年8月にニュースから松岡功が選んだのは、「AWS東京リージョンで大規模障害が発生」「日本マイクロソフトが業種別事業展開に注力」「あいおいニッセイ同和損害保険がマルチクラウドを採用した事故対応サービス」の3本である。“見逃せない”理由と共に、それぞれのニュースのポイントをお伝えする。
AWS東京リージョンで大規模障害が発生
米Amazon Web Services(AWS)の東京リージョンで2019年8月23日に大規模なシステム障害が発生し、同社のクラウドサービスが6時間ほど停止した。同社は障害の発生した経緯や対応状況について、その後、明らかにした。
AWSによると、東京リージョンの一部の仮想サーバー「EC2」が停止した原因は、データセンター制御システムにおける障害を発端に冷却システムがうまく機能せず、サーバーの温度が許容範囲を超えてしまったためだという。
詳細については、2019年8月26日掲載の本サイト記事「AWS東京リーションで発生した大規模障害は冷却制御システムのバグが原因」を参照していただきたい。
[選定理由]
多くの日本企業が利用しているAWS東京リージョンの障害だけに、クラウドサービスとしては国内でこれまでにない規模で影響が広がったとみられるからだ。クラウドの影響力が大きくなっていることを改めて認識させられる出来事となった。
肝心なのは、この出来事をどう教訓につなげていくかだ。クラウド事業者が障害を起こさないように注力するのは当然だが、筆者が特に訴えたいのはクラウドを利用する側の姿勢として、リスクマネジメントをしっかりとやっておくべきだということだ。
この点については、オンプレミスであれクラウドであれ、同じだ。システムの障害は「事業継続」に直結することを、とりわけ経営者はしっかりと認識しておくべきだ。
今回の出来事は、決してAWSがどうという話だけに終わらせるのではなく、クラウド利用におけるリクスマネジメント、そしてどのように事業継続を図るかについて改めて考え、対策に取り組むきっかけにしたいものである。
日本マイクロソフトが業種別事業展開に注力
日本マイクロソフトは2019年8月20日、2020年度(2020年6月期)の経営方針を発表し、「インダストリーソリューションの推進」を重点施策の1つとして挙げた。すなわち、業種別事業展開に注力することを明らかにしたわけである。
この方針について発表当時、同社の代表取締役社長であった平野拓也氏(現・特別顧問)は、「これまでマイクロソフトはプラットフォームを中心にビジネスを展開してきたが、これからはインダストリーソリューションにも注力していく」との意気込みを示した。
さらに、インダストリーソリューションについては、「デジタルトランスフォーメーションに向けてさまざまな業種のお客さまからビジネスモデルの変革についてご相談をいただくケースが増えてきた。そうした要望に応えたいと考えた」のが、取り組みのきっかけになったと語った。
具体的には、図1に示した分野において、顧客やパートナー企業との協業によってリファレンスアーキテクチャを整備し、展開していくとしている。
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