三菱地所とAIベンチャーのグルーヴノーツは2019年9月13日、三菱地所が管轄する東京・丸の内エリアの約30棟のビルにおいて、廃棄物の収集ルートを量子アニーリングマシンを用いて最適化する実証実験を実施すると発表した。
三菱地所とグルーヴノーツは、ビルから発生する廃棄物を効率的に収集運搬するルートを導き出す「廃棄物収集ルートの最適化分析」の実証実験に取り組む(図1)。三菱地所が管轄する東京・丸の内エリアの約30棟のビルを対象とする。人手不足の解消や、街全体のCO2排出量削減を目指す。
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丸の内エリアは約123ヘクタール(123万平米)と広大で、約4300の事業所が存在する。実証実験では、対象となる約30棟のビルについて、就業者数などから廃棄物の重量や個数を予測し、廃棄物を収集するタイミングを推定する。
この上で、廃棄物収集車両の種類や耐荷重、収集における作業時間、各ビルの制約条件などを考慮し、量子アニーリングマシンを活用して、車両の運搬経路の最適解を導き出す。
量子アニーリングマシンとして、カナダのD-Wave Systemsが開発した量子アニーリングマシン「D-Wave 2000Q」を利用する。グルーヴノーツは、同社のクラウドサービス「MAGELLAN BLOCKS」のメニューの1つとして、D-Wave 2000QとAIを利用した「組合せ最適化ソリューション」を提供している。
量子アニーリングマシンは、無数にある選択肢の中から最適な組み合わせを導出する“組み合わせ最適化”問題を高速に解くコンピュータである。勤務シフトや配送ルートの最適化などの用途に利用できる。
なお、廃棄物収集ルート最適化分析の実証実験は、三菱地所と富士通が共同で取り組む「丸の内データコンソーシアム」における実証プロジェクトの1つである。丸の内データコンソーシアムは、東京・丸の内エリアにおいて、データ活用を通じて街や社会における新たな価値や新たな事業の創出を目指している。