日立製作所は2019年11月15日、人それぞれに合わせた働き方改革を支援するサービス「ハピネスプラネット」(主催:日立、運営協力・アプリケーション開発:キュレーションズ)を活用し、効果を上げたと発表した。組織の幸福感が向上するとともに、働く人の仕事に対する自信や働きがいを示す指標である「心の資本」を高める効果を確認した。延べ4300人が参加した公開実証実験では、実験前後の心の資本が3週間で約33%向上した。
幸福感を向上させることは、社会にとって普遍的なテーマである。この一方で、幸福感の定量化は困難である。また、現代社会では、少子高齢化による人手不足により、生産性の向上が解決すべき重要な課題の1つとなっている。
日立製作所は、これらの課題を解決するため、「組織活性度(ハピネス度)」という指標を開発した。ウェアラブルセンサーやスマートフォンが搭載している加速度センサーを用い、幸福感を計測・定量化する仕組み。前提として、人の無意識な身体運動のパターンのなかに、幸福感と強く相関する普遍的な特徴があることを見いだした。
日立製作所ではさらに、幸福感と生産性の関係に着目した研究を重ねた。この結果、幸福感と生産性に強い相関があることを実証した。
今回、働き方改革支援サービスの「ハピネスプラネット」(主催:日立製作所、運営協力・アプリケーション開発:キュレーションズ、画面1)を活用して、多様な業種からなる83社、延べ4300人が参加した公開実証実験を「働き方フェス」と題して4回行い、働く人の自信や働きがいを示す尺度である心の資本の変化を調査した。心の資本は、米ネブラスカ大学名誉教授・経営学者で組織行動研究の第一人者であるフレッド・ルーサンス(Fred Luthans)氏を中心に開発した指標である。心の資本が高まると、心身の健康に加えて業績や生産性も高くなるという。
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実験の結果、参加者それぞれのハピネス度を向上させるために効果的な働き方が明らかになった。さらに、心の資本が約33%向上したことを確認した。これは、参加者がハピネスプラネットを活用することで、高い幸福感を持ちながら自信や働きがいを持って働くことができたことを示している。また、心の資本向上を営業利益の増減に換算すると、10%の向上に相当することが分かった。
日立製作所は今後、ハピネスプラネットに賛同する国内外の企業や組織との連携を拡大し、人々が自信と働きがいを持って働いて、経済的にも活性化した社会の実現を目指す。