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JPCERT/CC、マルウェア「Emotet」への注意を喚起、Word添付のなりすましメールで感染を拡大

2019年11月28日(木)日川 佳三(IT Leaders編集部)

JPCERTコーディネーションセンター(JPCERT/CC)は2019年11月27日、マルウェア「Emotet(エモテット)」への感染に関する注意喚起を発行した。2019年10月後半からEmotetの感染に関する相談が増えていることを受けたもの。注意喚起では、感染経路、感染した場合の影響、感染を防ぐための対策、感染に気付くためにできること、感染後の対応方法などを紹介した。

 Emotet(エモテット)は、2014年に発見され、同年に感染被害が広範に及んだマルウェア。他のマルウェアと同様に、メールに添付されたファイルやリンクを開くことで感染する。感染したPCは攻撃者の支配下に置かれ、攻撃者が外部に用意したC&C(司令塔)サーバーと通信する。C&Cサーバーの指示を受け、メールアドレスやメール内容などの情報を窃取したり、第三者にメールを送信したりといった攻撃を実行する。今回、JPCERTコーディネーションセンター(JPCERT/CC)はここ最近Emotetの感染報告が急増していることから注意喚起を発行した。

 感染によって発生する主な被害は、取引先や顧客の連絡先とメールの内容が窃取され、外部に送信されてしまうことである。また、取引先以外の外部の組織に、大量の不審メールを送信してしまう。ランサムウェアなどの他のマルウェアをダウンロードして実行してしまう恐れもある。

 JPCERT/CCが挙げる、Emotetへの感染による被害の拡大を防ぐための対策は、以下の通りである。

  • 組織内への注意喚起の実施
  • Wordマクロの自動実行の無効化(マクロの設定で「警告を表示してすべてのマクロを無効にする」を選択する)
  • メールセキュリティ製品の導入によるマルウェア付きメールの検知
  • メールの監査ログの有効化
  • OSに定期的にパッチを適用(SMBの脆弱性をついた感染拡大に対する対策)
  • 定期的なオフラインバックアップの取得(標的型ランサムウェア攻撃に対する対策)

組織間のメールを偽装し、Word添付ファイルを開かせる

 JPCERT/CCが確認している主な感染経路は、メールに添付されたWord形式のファイルを実行し、コンテンツの有効化を実行する、というもの。これにより、Emotetの本体をダウンロードしてしまう。Wordの設定によっては、有効化の警告が表示されることなくEmotetをダウンロードする場合がある。

 攻撃の特徴は、実際の組織間のメールのやりとりの内容を転用し、感染元から送信先への返信を装うものがあることである(図1)。「請求書の件です」といった件名で取引先の担当者から送られてきたようにみえるメールでも、実際はEmotetが窃取した情報を元に攻撃者が送っている「なりすましメール」の可能性がある。

図1:Emotetの感染によって発生する被害のイメージ図(出典:JPCERTコーディネーションセンター)図1:Emotetの感染によって発生する被害のイメージ図(出典:JPCERTコーディネーションセンター)
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 Emotetに感染した場合、以下のような影響が発生する可能性がある。

  • 端末やブラウザに保存したパスワードなどの認証情報が盗まれる
  • 盗まれたパスワードが悪用され、ファイル共有によってネットワーク内に感染が広がる
  • メールアカウントとパスワードが盗まれる
  • メール本文とアドレス帳の情報が盗まれる
  • 盗まれたメールアカウントや本文などが悪用され、Emotetの感染を広げるメールを送信してしまう

●Next:感染の確認方法と、確認後にやるべきこと

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