ミック経済研究所は2020年1月7日、クラウドやAIなどの技術を活用して人事・人材管理業務を支援する製品・サービスを「HRTechクラウド」と定義し、同製品市場規模の調査を行い、その一部を公表した。HRTechクラウドの2019年度の国内市場規模は349億円で、前年比136.1%の伸びとなっている。
ミック経済研究所は、HRTechクラウド(クラウドやAIなどの技術を活用して人事・人材管理業務を支援する製品・サービス)を提供するベンダー45社を対象に調査を実施し、2019年度のHRTechクラウド市場動向をまとめた。製品・サービスのカテゴリーは「採用管理クラウド」「人事・配置クラウド」「労務管理クラウド」「育成・定着クラウド」の4分野としている(図1)。
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調査では、ベンダーからのヒアリングで得た数値を積み上げて、2018~2020年度の市場規模を算出。さらに、2024年度までの中期予測を行った。ミック経済研究所によると、2019年度のHRTechクラウド市場は349.0億円で、2018年度の256.4億円から136.1%の成長となっている。
東京オリンピック開催がある2020年度は、2019年度比で136.4%成長の476.0億円の市場規模を見込み、翌2021年度は若干伸びが鈍化するという。米中経済の減速の影響などの景気変動要素はあるものの、2025年開催予定の大阪万博の影響などにより、2024年度には1700億円の市場規模にまで成長すると同社は予測している。
HRTechクラウド市場が成長を続ける背景に、労働人口減少や労働基準法改正などを受けて、働き方改革や就業形態の多様化が進んでいる状況を同社は指摘している。こうした中で、人材採用・確保や人材活用・定着を支援する製品・サービスの重要性が高まっているという。
今回の発表の詳細は、ミック経済研究所が同日に刊行した『HRTechクラウド市場の実態と展望 2019年度版』に掲載されている。マーケティング資料の価格(税別)は冊子(A4判・400ページ)が19万円、PDF版が23万円。
同社は2019年度におけるHRTechクラウド市場の分野別トピックを表にまとめている(表1)。
製品・サービス分野 | 2019年度のトピック |
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採用管理クラウド | 旺盛な可視化/一元管理ニーズ受け、動画面接などラインアップ強化で案件単価が拡大 |
人事・配置クラウド | タレントマネジメント需要の取込みと、人材の可視化・分析による適材配置ニーズの急成長 |
労務管理クラウド | バックオフィス業務自動化の認知度向上と、大手企業の電子申請義務化を受け、前年比160.7%に成長 |
育成・定着クラウド | SNS/サーベイによる可視化で、人材定着とエンゲージメント向上ニーズが急伸 |