[市場動向]

パナソニックと国循、“IoT住宅”で軽度認知障害の早期発見に関する共同研究を開始

取得した行動データから、日常生活習慣の特徴と認知機能の変化の相関性を分析

2020年1月22日(水)河原 潤(IT Leaders編集部)

パナソニックの社内カンパニーであるパナソニック ライフソリューションズ社は2020年1月21日、グループ企業のパナソニック エイジフリー、国立研究開発法人国立循環器病研究センター(国循:大阪府吹田市)と共同で、軽度認知障害(MCI)の早期発見に関する医学的エビデンスに基づいたモデルケースの構築を目指す研究を開始した。サービス付き高齢者向け住宅内にセンサー/IoTによるデータ収集・分析の仕組みを構築し、得られたデータが示す高齢者の日常生活習慣の特徴と認知機能変化の相関性などについて分析・研究する。

 軽度認知障害(Mild Cognitive Impairment:MCI)は、激しいもの忘れなどの記憶障害の症状のため完全ではないものの、適切な対応により日常生活能力がほぼ保たれている認知機能低下の初期段階を指す。長年にわたり、MCIの早期発見、認知機能の維持・向上、認知症への進行回避・遅延などを目指した医学研究が取り組まれている。

 今回発表された、国立研究開発法人国立循環器病研究センター(国循)、パナソニック ライフソリューションズ社、パナソニック エイジフリーの共同研究は、MCIの早期発見に関する医学的エビデンスに基づいたモデルケースの構築を目指すものである。

 発表によると、同研究の技術的基盤として、パナソニック ホームズのウェルネス住宅「patona吹田健都」(北大阪健康医療都市)内に、パナソニック エイジフリーの施設設計で2020年2月1日に開業するサービス付き高齢者向け住宅(注1)「エイジフリーハウス吹田健都プレミア」において、センサー/IoT/HEMS(Home Energy Management System)を活用した、高齢者の日々の生活行動のモニタリング・分析システムを構築する。

注1:サービス付き高齢者向け住宅:安否確認と生活相談のサービスが義務付けられたバリアフリー構造の住宅。サ高住と略記される。パナソニック エイジフリーのサービス付き高齢者向け住宅の場合、対象は60歳以上もしくは要支援・要介護認定を受けている60歳未満で、併設の小規模多機能型居宅介護サービスを必要に応じて提供する体制を整えている

 具体的には、同住宅の居室のテレビやトイレなどに搭載されたセンサーを通じて、いつ使用しているかや、どのようにリモコンを操作しているかといったさまざまな行動の子細を把握可能にする。また、ドアの開閉と電力使用の状況を、パナソニック ライフソリューションズ社のIoT/HEMS基盤システムである「AiSEG(アイセグ)」を通じて収集・蓄積し、生活リズムを総合的に把握できるようにする(図1)。

図1:共同開発で目指すもの(出典:パナソニック ライフソリューションズ社)
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 取得した行動データは匿名化されたうえで、定期的に取得する医学的診断を照らし合わせながら、日常生活習慣の特徴と認知機能の変化の相関性について、パナソニック ライフソリューションズ社と国循が共同で多角的な分析を行う。「継続的に分析を行うことで、日常生活における行動の特徴と認知機能の変化の相関性についての医学的エビデンスに基づいたアルゴリズムの開発を目指す」と同社は説明している。

 また同社によると、研究では、国循 脳神経内科部長の猪原匡史氏の知見を得ながら、配置した各種住宅設備や時間帯ごとに自動で光の色や明るさを調整する照明など、施設内の環境が入居者に与える効果の検証およびエビデンスの構築も構想しているという。

 「研究を通じて、当社は将来的に介護医療連携の仕組みの構築や、医学的エビデンスに基づいた認知機能の評価システムやサービスの開発を行い、他社介護サービス事業者などへ提案していくことを目指す」(同社)

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