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トラスコ中山、基幹システムと情報分析システムをSAP S/4HANAとSAP BW/4HANAで刷新

2020年3月4日(水)日川 佳三(IT Leaders編集部)

トラスコ中山は2020年3月4日、自社の基幹システムを刷新したと発表した。新基幹システムの名称は「パラダイス3」で、ERP(統合基幹システム)にSAP S/4HANAを採用し、日本IBMがプロジェクトを主導した。また、野村総合研究所(NRI)が、営業・物流業務を支援するリアルタイム情報基盤の機能拡張を担った。

 トラスコ中山は、「日本のモノづくりを支えるプロツールカンパニー」を掲げる機械工具の卸売商社である。同社は、従来のシステムがサポート期限を迎えることを機に、基幹システムと情報分析システムの刷新を2017年12月に計画。システムの単純な入れ替えだけでなく、業務改革プロジェクトも並行して進めることを決定した。

 しかし、新技術への取り組みと業務改革を同時に進めることは、リスクがともない、計画通りに進まない可能性があったという。このため、日本IBM、SAPジャパン、野村総合研究所(NRI)を主体としたチームを作り、4社でプロジェクトを推進した(図1)。

図1:トラスコ中山による基幹システム刷新プロジェクトを推進した4社の役割(出典:トラスコ中山)図1:トラスコ中山による基幹システム刷新プロジェクトを推進した4社の役割(出典:トラスコ中山)
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 日本IBMは、コンサルティング、要件定義、システム構築までを一貫して支援した。システム移行の影響を分析し、計画立案の精緻化を行った。基幹システムと分析システムについては、それぞれ、「SAP S/4HANA」と「SAP BW/4HANA」に移行した。また、IT基盤として、「SAP Cloud Platform」と「IBM Cloud」を連携させたハイブリッドクラウドシステムを構築した。

 SAPジャパンは、中心となるERP基盤としてSAP S/4HANAを、データウェアハウス(DWH)システムとしてSAP BW4/HANAを提供した。AI機能や社外連携機能は、SAP Cloud Platform上で開発した。営業・物流業務を支援するリアルタイム情報基盤も機能を拡張した。また、サポートサービスなどにより、日本IBMを支援した(関連記事“究極の問屋”を目指してデータドリブンに舵を切る─トラスコ中山の独創経営)。

 NRIは、すでに稼働しているリアルタイム情報基盤の機能拡張を担った。販売実績から適正在庫数を計算するロジックを高度化したほか、売れ筋判定による発注データの自動連携を実現した。また、今後の取引量増大に対応することで、社内外システムとの連携性能を強化した。

 NRIはさらに、販売店向けスマートフォンアプリ「T-Rate(トレイト)」を構築した。T-Rateでは、販売店とのコミュニケーションを円滑にするためのチャット機能やタイムライン機能、GPSによる位置情報サービスを活用した配送状況と到着時刻予測機能を実装した。

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