[市場動向]

NEC、10Gビット/秒の屋外無線伝送実験に成功、5G以降の通信データ大容量化にフォーカス

2020年3月6日(金)日川 佳三(IT Leaders編集部)

NECは2020年3月4日、10Gビット/秒の屋外無線伝送実験に成功したと発表した。要素技術として、D帯(130~174.8GHz)を利用するRF IC(周波数変換器)と、同デバイスを実装した屋外無線装置を開発した。NECは今後、同技術を小型マイクロ波通信システム「パソリンク」に適用する。

 NECは、10Gビット/秒の屋外無線伝送を実現する装置を開発した(図1)。今後、同技術を小型マイクロ波通信システムに適用し、5GおよびBeyond5G(5Gの次の世代の無線通信システム)の商用利用において大容量化が求められるモバイルバックホールおよびフロントホール回線での利用を目指す。

図1:新開発したRF ICと、これを実装した屋外無線装置の外観(出典:NEC)図1:新開発したRF ICと、これを実装した屋外無線装置の外観(出典:NEC)
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 要素技術として、D帯(130~174.8GHz)で動作するRF IC(周波数変換器)を開発した。RF ICは、増幅器や周波数変換回路などの複数の機能を持っており、RF ICを石英基板上にフリップチップ実装するRFモジュールも開発した。これを実装した屋外無線装置を開発した。

 実験では、RF ICを用いたモジュールと変復調部が一体となった試作装置を用い、D帯という高い周波数帯で10Gビット/秒のFDD(周波数分割複信)により、双方向の屋外無線伝送実験を実施した。対向する装置の送受信周波数は、それぞれ142GHzと157GHzに設定。リンク距離は150メートル、変調方式は128QAM、変調速度は1.6Gbaudによる10Gビット/秒伝送の条件で実験を行い、エラーフリーでの信号通過を確認した。

 実験ではさらに、実使用環境を想定し、4カ月以上にわたり、約1キロメートルのリンク距離で無線伝搬特性の実証実験を実施した。当該実験を通して得られたデータを基に、ITU-R勧告による降雨と通信稼働率の関係式をD帯まで拡張するための検討を実施する。

 背景には、5GおよびBeyond5G時代においては、通信データが大容量化するという状況がある。モバイルバックホールおよびフロントホール回線の通信量は数十Gビット/秒~100Gビット/秒になると考えられる。こうした状況下では、無線帯域幅の拡大や変調多値数の増加が必須となる。現在、NECのパソリンクでは数GHz~数十GHzの周波数帯域を用いているが、大容量化に向けてより帯域幅が広いD帯が注目されている。

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