日立製作所は2020年3月18日、Javaアプリケーションサーバーソフトウェアを中核としたミドルウェア製品群の新版「Cosminexus V11」を発表した。新版では、Amazon Web Services(AWS)を利用するための構築ガイドを提供するなど、既存システムをクラウドに移行しやすくするための機能強化を施した。
日立製作所の「Cosminexus(コズミネクサス)」は、Javaアプリケーションサーバーを中核としたミドルウェア製品群である(図1)。Javaアプリケーションサーバー「uCosminexus Application Server」、サービス統合のためのシステム連携インタフェースとなるESB(エンタープライズサービスバス)ソフトウェア「uCosminexus Service Platform」、BPMN 2.0で業務プロセスを表記して実行できるワークフロー基盤「uCosminexus Service Platform - WorkCoordinator」などで構成する。
ミドルウェアに加えて、クラウドへの移行を支援する「Application Serverテクニカルサービス」も提供する。Java SEをバージョンアップするリスクを診断したり、Java SEのバージョンアップにともなう各種の移行を支援する。
なお、uCosminexus Application Serverの特徴の1つは、性能低下を引き起こすフルGC(ガベージコレクション)を起こさない工夫を施していること。オブジェクトを格納するヒープ領域のうち、あまり使わないオブジェクトを退避させるOld領域にSessionオブジェクトを格納しないようにしてフルGCを回避している。
新版の価格(税別)と提供開始日は、uCosminexus Application Serverは、120万円から。uCosminexus Service Platformは、420万円から。いずれも、提供開始日は、Windows版が2020年3月31日、Linux版が2020年6月末、AIX版が2020年8月末。uCosminexus Service Platform - WorkCoordinatorの価格は、2020年7月に公開予定。提供開始日は、2020年7月31日。Application Serverテクニカルサービスは個別見積もり。提供開始日は、2020年3月31日。
オートスケーリング構成のための構築ガイドを提供
今回の新版では、uCosminexus Application Serverにおいて、Amazon EC2のオートスケーリング機能を利用できるようにした。ノウハウをまとめた「構築ガイド」を提供し、Amazon Web Services(AWS)上で容易にオートスケーリングを活用したサーバー設計ができるようにする。
オートスケーリングは、稼働状況に応じてサーバーリソースを動的に増減する機能である。メリットは、容量設計が不要になることである。一方で、動的に仮想サーバーを生成/削除する特性から、信頼性を考慮した設計や設定が複雑になる。これが、アプリケーション開発上の課題となっていた。
今回、Cosminexus V11を用いた実機検証済みのオートスケーリング設計のノウハウを「構築ガイド」としてまとめた。2020年5月末から、CosminexusのWebサイトで無料公開する。ガイドには、設計の手順や留意すべき設定、システム構成例などを掲載している。
新版では、ESBソフトウェアのuCosminexus Service Platformも強化した。オンプレミスの既存システムを一般的なREST APIで呼び出せす処理を、より簡単に開発できるようにした。また、ログ機能を強化し、アプリケーション内の業務処理の流れを把握しやすくした。これらにより、オンプレミスの既存システムとクラウドとの連携部分の開発工数を削減できる、としている。
新版では、BPMソフトウェアの「uCosminexus Service Platform ‐ WorkCoordinator」も強化した。業務プロセスの設計情報を入出力する機能とデバッグ機能を新たに搭載した。