[新製品・サービス]
SAPジャパン、SAP HANA Cloudを日本のデータセンターから提供開始
2020年4月23日(木)日川 佳三(IT Leaders編集部)
SAPジャパンは2020年4月23日、インメモリーデータベース「SAP HANA」をクラウド型で提供するサービス「SAP HANA Cloud」を、国内で2020年第2四半期(4~6月期)に開始すると発表した。2019年5月に独SAPが発表したサービスであり、SAP Cloud Platform上で提供しているHANAサービスの後継に当たる。既存のHANAサービスとの主な違いは、コンテナ技術などを活用して管理性を高めていることである。
SAP HANA Cloudは、インメモリー型のデータベース管理システムであるSAP HANAを、クラウド型で提供するサービスである。SAP HANAの機能を、そのままクラウド上で利用できる。SAP Cloud Platformの中核機能であるHANAサービスの後継サービスに当たる。コンテナ技術などを活用したクラウド基盤上で稼働していることから、リソースの配備や変更が容易であるなど、運用管理性に優れるとしている。
SAP HANA Cloudの提供開始に合わせ、SAP HANA Cloudを中核に、SAP HANA CloudをDWH(データウェアハウス)として利用するための機能群を備えた「SAP Data Warehouse Cloud」も開始する。SAP Data Warehouse Cloudを使うことで、エンドユーザーみずから必要なデータソースにアクセスして、容易に洞察を得られるようになるとしている。
SAP HANAはデータベースの集約や集計が不要
SAPジャパンは、SAP HANAが高性能であることのメリットの1つとして、複数システムに分散している実データを、SAP HANA上の仮想テーブルで統合できることを挙げる(図1)。あたかもSAP HANA上にテーブルがあるかのようにアクセスできる。
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従来は、実データをETL(抽出、変換、登録)ツールで単一のシステムに集約していた。これに対して仮想テーブルは、実データへのアクセスポイントとなる。仮想テーブルを介して、分散している実際のデータソースにアクセスする。性能に問題が生じる場合は、データのキャッシングやレプリケーションもできる。
SAPジャパンは、接続コネクタによって、仮想テーブルを介してアクセスできる外部データソースを増している。データベースからSQLでデータを取得したり、クラウドサービスからAPIを介してデータを取得したりする。
SAP HANAが高性能であることのもう1つのメリットとして、データマート(集計済みのテーブル)を作らずに運用する“マートレス”の構成も挙げる(図2)。目的別のデータマートを作るために明細データを夜間バッチで集計する必要がなくなるため、リアルタイムにデータを活用できるようになる。
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SAP HANAでは、物理的なデータマートを作ることなく、仮想データマート(仮想ビュー)を運用できる。現場が参照する明細データと、経営層が参照する集計済みのサマリーデータを一致させることができる。データマートを作成するバッチ処理が不要になるので、IT担当者の負担も減る。