[調査・レポート]
国内14.2%の企業がコンテナを本番環境で運用─IDC
2020年5月12日(火)日川 佳三(IT Leaders編集部)
IDC Japanは2020年5月12日、DockerコンテナとDockerコンテナの運用基盤であるKubernetesの導入状況を調査した結果を発表した。コンテナを本番環境で使用している企業は14.2%で、2019年調査から5.0ポイント上昇した。コンテナ環境で使っているオーケストレーションツールを聞いたところ、54.7%がKubernetes(コミュニティ版)を使用しており、2019年調査の45.5%から大きく上昇した。調査は、2020年2月に、国内の企業および組織458社に対してアンケートで実施した。
IDC Japanは、国内企業を対象に、コンテナの導入状況を調査した。本番環境で使用している企業は14.2%となり、2019年調査から5.0ポイント上昇した。2017年調査から2019年調査までは数ポイントの上昇に留まっていたが、2020年調査では大きく上昇し、本番環境での導入率が2桁になった(図1)。
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また、導入構築/テスト/検証段階にある企業は18.6%、導入計画/検討にある企業は19.0%となり、今後本番環境でコンテナを使う企業は、さらに拡大する。コンテナを知らないという回答は、2020年調査で大きく減少しており、コンテナが市場全体で認知されている。
コンテナの利用率が急上昇した背景について同社は、CaaS(Container as a Service)などのコンテナ向けクラウドサービスや、ツールベンダーとSIベンダーによるコンテナ導入支援の充実化を挙げる。
調査ではまた、コンテナを本番環境で使っている企業と、導入構築/テスト/検証段階にある企業を対象に、コンテナ環境で使っているコンテナ運用基盤ソフトウェアを聞いた(複数回答)。この結果、54.7%の企業がKubernetes(コミュニティ版)を使っており、2019年調査の45.5%から大きく上昇した。
Kubernetesの次に多く使われているソフトウェアは、Kubernetesを含んだベンダーディストリビューションである「Red Hat OpenShift Container Platform」で、24.0%(2019年調査は19.8%)となった。2019年調査で既にKubernetesがデファクトスタンダードとなっていたが、ますます採用が拡大している状況にある。
調査では、コンテナの導入を促進する要因も聞いた。「開発者の生産性の向上」が25.3%で、最も高い回答率になった。アプリケーションの開発環境やテスト環境を迅速に構築/デプロイできることから、開発者の生産性が大きく向上する。2番目に回答率が高かったのは「アプリケーション運用の効率化(24.7%)」、3番目は「アプリケーションのポータビリティの向上(23.3%)」となった。アプリケーションの運用性が高まることも、コンテナの主要な導入促進要因である。
今回の発表は、IDC Japanが発行した『2020年国内クラウドネイティブプラットフォーム市場ユーザー動向調査』で詳細を報告している。本レポートは、アンケート調査結果をもとに、国内ユーザー企業におけるクラウドネイティブ技術の導入状況について集計/分析している。コンテナ/Kubernetesとサーバーレスの導入状況、マイクロサービスアーキテクチャーの採用やレガシーモダナイゼーションの実施計画について分析している。