EDGEMATRIX(エッジマトリクス)とNTTドコモは2020年5月29日、第5世代移動通信方式(5G)の実現によって注目が集まるIoT関連サービスをより充実させることを目的に、エッジAIプラットフォーム事業などに関する業務提携に合意した。EDGEMATRIXとNTTドコモは、エッジAIプラットフォームを共同で企画・事業化する。さらに、本プラットフォーム内でAIをアプリケーションとして販売・購入できるマーケットプレイスを展開する。エッジAIプラットフォームについては、2020年1月以降に試験サービス、同年4月以降に商用サービスを提供開始する予定。なお、本協業にあたり、NTTドコモはEDGEMATRIXに2019年8月6日に出資した。
EDGEMATRIXとNTTドコモが業務提携により事業化を進めるエッジAIプラットフォームは、エッジAIを実現するデバイスを一元的に管理する機能とともに、さまざまなAIアプリを販売・購入できるマーケットプレイスを備えている(図1)。また、EDGEMATRIXは、エッジAIプラットフォームとあわせて利用できるエッジAIデバイス「Edge AI Box」を提供している。
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従来、エッジAIの活用においては、最適なAIの選定、個別カスタマイズ、設置・設定およびチューニング、運用などをそれぞれ個別の専門企業に発注する必要があった。
これに対して、エッジAIプラットフォームを使うと、AIアプリおよびエッジAIデバイスの選定・購入から、デバイスの設置を含め、容易かつ迅速に、AIを活用したシステムを導入・運用できるようになる。また、AIアプリを開発・提供する企業は、マーケットプレイスを通じて多種多様なAIアプリを展開できる。
両社は、簡易にエッジAIを利用できる環境の提供をめざし、2019年度から「Edge AI Box」を用いた検証を通じて、エッジAIプラットフォームの企画検討に取り組んできた。今後両社は、本プラットフォームの早期事業化を実現するとともに、AIを活用した多様なサービスが利用されるエコシステムを構築し、デジタル変革を推進する。
エッジAIプラットフォームの主な機能・特徴は、以下の通り。
屋内外に設置する多数のエッジAIデバイスに対し、設置場所と稼働状況を一元的に監視し、アラート配信や設定・チューニングなどの遠隔操作ができる。エッジAIデバイスと接続可能なカメラなどの各種機器も遠隔操作が可能。また、エッジAIデバイス上で稼働するAIアプリの配信や更新といった管理もクラウド上で対応できる。
ユーザー向けには、NAT越え機能によって、プライベートネットワーク内のカメラなどなどへのアクセス、WebRTCによるリアルタイム通信、複数映像の一元管理、デバイスの認証やデータ暗号化などの各種セキュリティ対策、閉域網接続といったサービス管理機能、――を提供する。AIアプリを開発・提供する企業向けには、AIアプリの開発キット(SDK)による開発者支援や、遠隔からの接続によりAIアプリの動作確認ができる仮想検証環境を準備する。
マーケットプレイスでは、エッジAIデバイス対応AIアプリのほか、エッジAIデバイスと連携可能なカメラなどの各種機器やエッジAIを活用したシステムで必要となるソフトウェアを販売・購入できる。AIアプリを開発・提供する企業は、実証実験などで特定ユーザー向けに開発したAIアルゴリズム、モデル、トレーニング用データといった資産や開発ノウハウを眠らせることなく、マーケットプレイスを通じて汎用的なAIアプリとして広く販売し、収益化できる。