NECは2020年6月11日、人の密集度合いを画像解析によってリアルタイムに可視化する技術を開発したと発表した。駅や空港などの公共施設や、店舗などの人が集まる場において、人と人が十分な距離を保てているかを判定して可視化する。NECは今後、開発した技術の社会実装を目指す。
NECは、設置済みのカメラ映像を利用して、カメラ映像から人と人との距離(ソーシャルディスタンス)を判定する技術を開発した(図1)。

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背景として同社は、新型コロナウィルスの感染拡大を防ぐ上で、ソーシャルディスタンスを保つことが課題となっている状況を挙げる。新技術により、密集状況を常時解析し、個人を特定しないかたちで、ソーシャルディスタンスをどの程度確保できているかを、リアルタイムで数値化する。解析結果をデジタルサイネージなどで表示することによって、施設の利用者に密集の回避を促せる。
これまでの技術では、奥行きのある映像については、カメラからの距離の遠近によって人物の大きさが変わるため、カメラごとの事前調整が必要だった。今回開発した技術は、映像内の人物の大きさがまちまちな既設カメラの映像や、撮影済みの映像でも、場所と大きさの関係を計算し、人と人との距離を高精度に求める。
ソーシャルディスタンス(例えば2メートル)を確保できているかの可視化には、カメラ映像中の人物それぞれに半径1メートルの円を描き、円が重なっている場合には赤色で表示する。赤色の円の割合を計算することで、密集度をリアルタイムに示すこともできる。