[調査・レポート]

2020年の5G対応スマートフォン国内出荷台数は1333万台に─矢野経済研究所

2020年6月24日(水)IT Leaders編集部

矢野経済研究所は2020年6月23日、国内の第5世代移動体通信サービス(5G)および関連する産業の5G採用動向を調査し、MNO(移動体通信事業者)4社の5Gサービス契約数、および5G対応スマートフォン出荷台数を予測して公表した。2020年度の国内5Gサービス契約数は1185万契約、2020年の5G対応スマートフォンの国内出荷台数を1333万台と予測している。商用サービス初年度でエリア展開は限定的なものの、データ通信無制限プランの導入と対応スマートフォンの充実で、アクティブユーザーの取り込みが進む見込み。

 電気通信事業者協会(TCA)によると、2019年12月期における国内携帯電話サービスの契約数は1億8000万契約を超え、社会インフラとして広く普及している。2010年代には、第4世代移動体通信サービス(4G)が基幹技術としてアップデートを重ねながら足元を支えてきた。携帯電話サービス全体では、端末のスマートフォンへの移行が進み、スマートフォンを利用したEコマースやSNS(Social Networking Service)の普及、サブスクリプションサービスの利用拡大など、消費者の利用スタイルは多様化が進んでいる。

 国内大手の移動体通信事業者(MNO)によるサービスに加え、大手事業者のサブブランドや仮想移動体通信事業者(MVNO)による「格安スマホ」は導入から数年が経過しており、消費者の選択肢の幅が広がっている。2020年3月には、4Gの後継規格である5Gの商用サービスがMNO3社によって始まった。5G導入に合わせて、2007年以来となる新規参入事業者の登場も話題になっている。

 矢野経済研究所は、国内MNO4社の2020年度5Gサービス累計契約数は1185万契約、また、2020年の5Gスマートフォンの国内出荷台数(メーカー出荷ベース)は1333万台になると予測している(図1、新型コロナウイルスの影響は考慮していない)。サービスエリアは特定地域での展開に限られ、5Gを体感できる機会は限られるものの、5Gスマートフォンへの買い替えに合わせて5G対応のデータ無制限プランへの加入が見込まれる。ただし、2020年度下期以降に需要の回復は期待できるが、新型コロナウイルスの影響による上期の落ち込みをカバーするには至らない見込み。サービス初年度の契約数は当初の予測を2割強下回ることも考えられる。

図1:国内5Gスマートフォン出荷台数予測(出典:矢野経済研究所)図1:国内5Gスマートフォン出荷台数予測(出典:矢野経済研究所)
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 2021年度には、サービスエリア拡大がさらに進むと同時に、MVNO事業者による5G商用サービスの開始も期待できる。また、延期となった東京オリンピック・パラリンピックの開催も控えており、通信事業者各社のサービス競争による盛り上がりも期待できるとし、2021年度の5Gサービス契約数は3210万契約、2021年の5Gスマートフォン国内出荷台数は2230万台と予測している。

 5Gの特性を有効活用できる主な分野は、映像配信(4K/8K、XR[VR/AR/MR]など)、コネクテッド(自動車のネット接続)、IoT(モノのインターネット)、セキュリティなどの分野になる。特に映像配信系はコンシューマ向けサービスに加え、法人向けにおいて教育・研修分野など活用できる領域が広く、需要が大きい。新型コロナウイルスの影響拡大以降、スマートフォンでの動画利用はさらに根付いてきており、5G環境下でのリッチな映像体験は5Gサービス普及において充分な訴求力を持つと、矢野経済研究所は考えている。

 今回の調査の期間は2020年1月~2020年4月で、対象は移動体通信サービス事業者(MNO、MVNOほか)、携帯電話端末メーカー、ODM・EMS企業、半導体メーカー、海外調査会社・コンサルティング企業である。調査方法は矢野経済研究所の専門研究員による直接面談、eメールやセミナーでの取材、文献調査を併用している。

 5Gは、ITU-R(国際電気通信連合 無線通信部門)によって既存の4G後継の世界統一規格として策定された。高速・大容量通信、多数同時接続、低遅延の特長を持っている。IoT時代の社会インフラ構築に不可欠なテクノロジーとして、モビリティ、配送・物流、サービス業・観光、エンタテイメント・スポーツ・レジャー、工場・製造・オフィス、教育・研修・文化、金融・決済、スマートホーム・スマートシティ・エネルギー、農林水産業、建設・土木、報道・広告・コンテンツ制作、医療・ヘルスケア、政府・自治体・防災など、様々な産業分野への展開が期待されている。

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