IDC Japanは2020年7月2日、2020年第1四半期（1月～3月）の国内サーバー市場動向を発表した。市場全体の売上額は1401億円で、前年同期から1.6％減少した。出荷台数は11万9000台で、前年同期から7.8％減少した。
2020年第1四半期（1月～3月）の国内サーバー市場は、売上額と出荷台数ともに、前年同期比でマイナス成長となった。売上額は1401億円で、前年同期から1.6％減少した。出荷台数は11万9000台で、前年同期から7.8％減少した。
製品別の売上は、x86サーバーとメインフレームが、前年同期比で2桁のマイナス成長となった。その他のサーバー（x86サーバーとメインフレーム以外のサーバー）は、スーパーコンピュータ「富岳」の出荷が牽引し、3桁のプラス成長となった。その他のサーバーには、ARMサーバー、RISCサーバー、IA64サーバー、ビジネスサーバーが含まれる。
x86サーバーの売上は前年同期比11.3％減
x86サーバーの売上額は、前年同期比11.3％減の1012億円だった。一方、x86サーバーの出荷台数は、前年同期比7.7％減の11万7900台だった。
x86サーバーのうち、Standard Serverは、売上額が前年同期比17.4％減の847億円、出荷台数が同13.3％減の9万7800台だった。Custom Serverは、売上額が前年同期比44.1％増の152億円、出荷台数が同35.3％増の1万9400台だった。
Standard Serverは、ITサービス、ヘルスケア、流通、通信向けの大口案件などがあったが、前年同期にあった流通、製造向け大口案件などの反動で、売上額、出荷台数ともに2桁のマイナス成長となった。
2019年後半（2019年第3～4四半期）にあった、Windows Server 2008サポート終了（2020年1月）にともなうサーバー更新需要は、2020年1月にはほぼ頭打ちし、Standard Serverのマイナス成長を補う規模にはならなかった。
Custom Serverは、クラウドサービスベンダー向けの出荷増加に加え、ITサービス向け大口案件があり、売上額、出荷台数共に大幅なプラス成長となった。
その他のサーバーは「富岳」がプラス成長を牽引
メインフレームは、売上額が前年同期比40.3％減の121億円だった。官公庁、金融、ITサービス向けの大型案件があったが、2019年同期にあった金融、製造、公益向け大型案件の反動で、2桁のマイナス成長となった。
その他のサーバーは、売上額が前年同期比235.2％増の267億円だった。官公庁、金融向けの大型案件があった。特に、理化学研究所計算科学研究センター向けの「富岳」が、その他のサーバーの大幅なプラス成長を牽引した。なお、「富岳」を除く、その他のサーバー売上額は、前年同期比33.5％減の53億円だった。
x86サーバーはCOVID-19で部品の調達が困難に
IDC Japanでは、COVID-19（新型コロナウイルス感染症）の流行による国内サーバー市場への影響は、x86サーバーでは少なからず発生した一方、メインフレームやその他のサーバーでは殆ど発生しなかったと見ている。
例えば、x86サーバーでは、サプライチェーンの断絶による部材（プロセッサやマザーボードなど）の調達が困難となり、サーバー製造に支障をきたしたケースが見られた。一方、メインフレームやその他のサーバーでは、このような影響は特に見られなかった。
会社別の売上額では、富士通が首位を維持した。次いで、NEC、日本ヒューレット・パッカード（HPE）、デル・テクノロジーズ（Dell Technologies）、日立製作所の順だった。出荷台数は、NECが首位を奪取した。次いで、富士通、HPE、Dell Technologies、Lenovoの順だった。
図1：2020年Q1の国内サーバー市場。会社ごとの売上額（出典：IDC Japan）拡大画像表示
