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DXの“稜線”まで二人三脚で汗を流す──「Ridgelinez」に込められた心と、新たな未来予測まで包含したアプローチとは

2020年9月10日(木)

企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)支援を目的に、富士通を母体に2020年4月に産声を上げた戦略会社のRidgelinez。同社は現在、DXのデザイン集団としてコンサルティングから最新技術の実装までのワンストップ提供を加速させている最中だ。そんなRidgelinezは2020年8月、DXでの同社の考え方や活動の周知を狙いとするオンラインイベント「TRANSFORMATION SUMMIT 2020」を開催。本稿では、当イベントの見所として、Ridgelinez 代表取締役社長の今井俊哉氏が語った同社の具体的な活動内容を紹介するとともに、同時並行で開催されたDXの起点となる「未来洞察」を体験できる参加型ワークショップの模様をレポートする。

DXの成功例がいまだ乏しい理由とは

デジタルテクノロジー活用によるビジネスモデルや組織の変革を通じ、競争力の抜本的な底上げを目指すDX。技術革新によりITが社会インフラとなるほど身近なものとなる中、その推進に乗り出す企業はもはや少なくない。

だが、成功例はいまだ乏しいのが実態だ。その代表的な理由として、Ridgelinez 代表取締役社長の今井俊哉氏は、「現状を変革するだけの必要性を認識できない」「何をどう、どれだけ変えるべきかの適切な判断が難しい」「変革が大きなほど、新たな仕組みの実装に時間を要す」ことを指摘。そのうえで、「それらの根本には、IT活用で長らく指摘されてきた次の2つの課題がある。それらへの効果的な手立てをいまだ見いだせていないことが、DXをこれほど困難にさせている」と強調した。

課題の1つ目は、これまでの努力や苦労といった過去を否定する変革への組織的な拒否感だ。同時に、現状の働き方の変化に対する抵抗も大きく、DXの推進は過去のERP導入と同様、本来的に従業員の前向きな協力を得にくい。

2つ目は、ITの新規導入には時間を要すことだ。特にDXでは、より斬新なIT活用が求められ、環境整備に要する時間も必然的に増す。一方で、経営層に時間はそう残されておらず、作業の完遂はそれだけ困難にならざるを得ない。

Ridgelinez 代表取締役社長の今井俊哉氏

このように、「DXはそもそもが一筋縄ではいかない取り組みだ。だが、期待の大きさから、目標や手順が不明瞭なままDXに舵を切るケースが実際問題として散見される」(今井氏)。結果、直面した課題を克服できず、大半の企業が志半ばで取り組みを断念しているのだという。

“稜線”に至るまでの道のりを顧客ファーストで支援

状況の打開に向け、Ridgelinezが活動の柱に据えるのが、顧客との対話を通じた戦略や目標、それらに基づく組織やITの実現方法などの「変革そのもの」の共同での創出だ。今井氏によると、DXの過程は登山に例えられるという。急な傾斜を上ることは確かに苦しいが、稜線までたどり着くと視界が一気に開け、これまでとは違う世界が表れる。同社の社名も、まさに「稜線(Ridgeline)」に由来する。

決して平坦ではない道のりを顧客と共に歩む
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無論、山頂に至るまでには、「戦略策定」や「ビジネスモデル・ソリューション設計」「業務プロセス・アーキテクチャ設計」「オペレーションシステム開発」などの難所がいくつも待ち受ける。「それらの作業には、技術と人にまつわる課題がいくつも存在する。山の形が異なるのと同様、課題は企業ごとに千差万別であり、それらのどこにつまずいても山頂にはたどり着けない。この考えから、我々は独自の方法論も活用しつつ、出発点から目指すべき未来への道筋までを顧客とともに明確に描き出す。これこそ、当社の発足の狙いでありミッションでもある」(今井氏)。

そうした中でガイド兼パートナーとして苦楽を共にするのが同社の多様なコンサルタントだ。「まず、出発段階では各業界に精通した『Industry DX Strategy Consultant』が、直面するいくつもの課題を整理したうえで、新たな目標設定やその達成に向けた戦略立案を支援する。そのうえで、『DX Competency Consultant』が業務とITの双方のデザインによって戦術へ落とし込む。『DX Technology Consultant』がアジャイル開発によるプロトタイピングなどで顧客とともに汗をかき、知恵を絞る。こうしたコンサルタントの連携により山頂までの道のりを一気通貫で支援するのだ」(今井氏)。

専門特化したエキスパートが変革を導く
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顧客ファーストで目指すべき姿に最適なITを選択

Ridgelinezでは多様な業界でのDX支援に向け、富士通総研の出身者を中心にすでに250名以上のコンサルタントを揃える。加えて、富士通グループとしての膨大な技術的な蓄積も同社の武器だ。今井氏は、「DXでは経営、事業、ITの各レイヤーの変革すべてに対応する必要があるが、我々であればそれが可能。のみならず、当社には技術を横並びで見て、整合性や結合性から良し悪しを判断できる人材が豊富に存在し、DXにおける一番の差別化要因であるITの具体的な実装イメージを基に提案できることも顧客にとって大きな価値となる」と強調する。もっとも、同社の立ち位置は、あくまで“顧客ファースト”だ。「顧客のためのグループ外の技術の採用も当社は躊躇しない。それは、富士通トップの価値観とも共通している」(今井氏)。

今井氏は同社の活動の概要をこう説明したのち、日経BP 総合研究所 フェローの桔梗原富夫氏と対談。そこで語られた内容は次のようなものだ。

日経BP 総合研究所フェロー 桔梗原富夫氏との対談の様子

最初のテーマは、さまざまな意味で語られるDXの捉え方についてだ。その点について、今井氏は“変革の程度”で測ることができるという。「例えばテレワーク。離れた相手との仕事だけが狙いであれば業務効率化の範疇だ。しかし、社員の評価適正化に向けた承認フローや各種制度の見直しまで踏み込むなら、組織運営や意思決定という経営そのものに関わるため紛れもないDX。ITは多様な効率化をもたらし、そこで浮いたリソースを経営の最適化にどれだけつなげられるかが、DXの最大のポイントとなる」(今井氏)。

DXは変革に向けた経営者の“本気”が試される

ただ、変革には従業員の“痛み”を伴うことはすでに述べた通り。そうした中でのDXの推進を成功に導く重要な要素が、データによる業務の「見える化」を越えた「できる化」だという。前者による現状の課題把握までは、いわゆる“データ駆動型経営”として多くの企業で取り組みが進む。データによって従業員に変革の必要性を納得させることもできる。では、見つかった課題対応に現場がどれだけ迅速に動けるかまで考慮されているか。「人の行動変容を抜きにして組織変革は不可能。その視点が欠け、従業員に新たな行動を促せない施策であれば、そのDXは掛け声倒れに終わる可能性が高い」(今井氏)という。

一方で、DXでは現場を指揮するマネジメント層の意識改革も欠かせないという。理由は明快だ。世の中のほとんどの事業にはすでに競合が存在し、経験やノウハウを蓄積し続けており、たとえDXを武器にしても、市場の空白地帯を開拓できた以外では新規参入組の弱さは否定できない。技術を活用した隣接市場や新たな競合による切り崩しも容易に予見される。故に、そこでどう地位を確立し、逆に市場を広げていくかが課題となる。「いわば、競合は実績のある3割打者で、ルーキーが最初から立ち向かえる相手ではない。では、育成の時間と予算をどう捻出するか。企業全体で見ればスタメンである従来ビジネスの協力も、そこでは欠かせない」(今井氏)。

担当業務だけの成果追求で顕在化した問題が“部門の壁”だ。企業として新事業を育成するには、いわば全社最適を目指した組織的な決断の仕組みが新たに必要とされる。「それを促せるのは、強力なリーダーシップ」(今井氏)。つまり、あらゆる変革と同様、DXの成功もトップマネジメントの双肩にかかっているのである。

DXの出発点となる“未来予測”のために新たな方法論を開発

DXでは将来予測の精度向上も大きな課題となる。それを欠いては変革の出発点となる戦略の誤りによって、取り組み全体の意義が失われてしまう。しかも、変化が加速する中にあって、その難度が増す一方だ。この点を踏まえ、RidgelinezがDX支援の高度化に向けて取り組んでいるのが、従来とは一線を画す将来予測の方法論の開発だ。セミナーと並行して行われたオンラインでの参加型ワークショップではその一端が披露された。

同社の方法論の特徴は、変化の予兆把握に重きを置いていることだ。Ridgelinez High-Tech and Manufacturing マネージャーの佐々木哲也氏は、「不連続な変化が近年の劇的な変化を加速させています。それらに柔軟に対応するとともに、自らがディスラプターに脱却するためにも、従来とは異なる視点で予測の幅をできる限り広げることが大切なのです」と説明する。

予測作業は単純化すると次のように進められるという。まず、情報収集を通じて多様な業界の変化を把握し今後を予測。次に、発想を広げてそれらを関連付け、最後に変革シナリオに落とし込む。佐々木氏によると、「情報収集を迅速に行え、関連づけも視覚的に簡単に行える。Webミーティングでコミュニケーションにも問題は生じないため、一連の作業はデジタル環境と親和性が高い」という。最終目標は、未来への試行錯誤を組織に文化として根付かせることだ。

オンラインでの参加型ワークショップのポイント
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今回のワークショップの最終目標に設定されたのが、「アフターコロナ/New Normalを前提としたビジネスの変革シナリオの発見」だ。作業は3~4名の4チームで、発想の“発散”と“収束”を繰り返すよう設計されたプロセスを通じ進められていく。客観的な「事実・予測情報」と、メンバー個々の「推察・アイデア」を幾重にも絡ませることで進められ、ITが作業を支援する。Web会議サービスとオンラインホワイトボードが駆使され、場面に応じてスムーズにファシリテーションが行なわれていった。結果として、とあるチームが生み出した成果は次のようなものだ。

──コロナ後の世界では「社会」と「個人」の変容が容易に推察される。そこでの変化の可能性が、「個人による判断が広がる一方での、情報過多を原因とする判断の機械化の進展」「チームとしての働き方の変化と、そこでの個人としての能力の評価の高まりを受けての、リアルとバーチャルでの個人の力関係(存在感)の逆転」だ。最終的な未来予測は、「データの理解度による経済、社会、文化面での人の二極化の進展」「バーチャル世界でのサービスの多様化」「首都圏企業のバーチャル化とリアル世界での地方への脱出」などだ。

Web会議サービスとオンラインホワイトボードが駆使されたワークショップのワンシーン
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将来予測であるため、現時点での確度の評価は不可能だ。だが、これまでの不可能を可能としたITにより、あらゆる業界で地殻変動が活発化している。その事実を見れば、変化をいち早く捉えるための方法論の価値は決して小さくない。戦略立案からITの実装、その土台となる将来予測の新たなアプローチまでを幅広く手掛けるRidgelinez。変革の“黒子”でありながら、同社への注目が今後、増すことに異論を挟む余地はなさそうだ。


●お問い合わせ先

Ridgelinez株式会社

URL: https://www.ridgelinez.com/

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