IDC Japanは2020年9月25日、2020年第2四半期(4月~6月)の国内サーバー市場動向を発表した。市場全体の売上額は1332億円で、前年同期から22.2%増加した。出荷台数は10万8000台で、前年同期から9.9%減少した。
IDC Japanによるち、2020年第2四半期の国内サーバー市場は、売上額が前年同期比で2桁のプラス成長となった。製品別では、x86サーバーが前年同期比でマイナス成長となった。一方、メインフレームは2桁のプラス成長、その他のサーバーは3桁のプラス成長となり、国内サーバー市場を牽引した。
特に、その他のサーバーは、前四半期(2020年第1四半期)に引き続き、スーパーコンピュータ「富岳」の出荷があり、国内サーバー市場全体のプラス成長に貢献した。「富岳」は、2020年第1四半期および第2四半期の2回に分けて分納され、売上計上は2四半期にわたったとIDC Japanは見ている。
なお、その他のサーバーとは、ARMサーバー、RISCサーバー、IA64(Itanium2)サーバー、ビジネスサーバーの総称である。
標準的なx86サーバーはマイナス成長
x86サーバーは、売上額が前年同期比5.2%減の881億円だった。出荷台数は、前年同期比11.9%減の10万5100台だった。x86サーバーのうち、Standard Serverは、売上額が前年同期比10.4%減の725億円、出荷台数が同19.6%減の8万3500台だった。Custom Serverは、売上額が前年同期比30.2%増の156億円、出荷台数が同39.5%増の2万1600台だった。
Standard Serverは、ITサービス、官公庁向けの大口案件などがあったが、前年同期にあった流通、文教、製造向け大口案件などの反動で、売上額、出荷台数ともに2桁のマイナス成長となった。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行の影響も2桁マイナス成長の一因になったとIDC Japanは見ている。
COVID-19対策による在宅勤務の促進も影響した。在宅勤務へのシフトによって社内業務処理が滞り、契約締結が遅延したケースがある。出社社員数が減少し、納品検収対応が困難となり、サーバー搬入日を延期したケースもある。結果として、サーバーベンダーの今期売上計上に至らなかったケースがみられた。こうしたネガティブな影響は主に、在宅勤務に不慣れだった中小規模事業者で発生したとIDC Japanでは見ている。
Custom Serverは、前年同期に、売上額、出荷台数ともにマイナス成長だった反動で、今期は、売上額、出荷台数共にプラス成長となった。Custom Serverは、Standard Serverとは異なり、COVID-19流行によるネガティブな影響は特に見られなかった。むしろ、COVID-19の流行によって企業のクラウドシフトが加速し、Custom Serverのプラス成長にポジティブな影響をもたらしたとIDC Japanは見ている。
メインフレームとその他のサーバーは好調
メインフレームは、売上額が前年同期比48.2%増の157億円だった。前年同期は2桁のマイナス成長だったが、今期は流通、金融、運輸向けの大型案件があり、2桁の大幅なプラス成長となった。
その他のサーバーは、売上額が前年同期比436.8%増の294億円だった。理化学研究所計算科学研究センター向け「富岳」をはじめ、官公庁、文教、金融向けの大型案件があった。なお、「富岳」を除いた、その他のサーバーの売上額は、前年同期比46.1%増の80億円となり、「富岳」を除いても好調だった。
なお、メインフレームやその他のサーバーでは、COVID-19流行によるポジティブな影響もネガティブな影響もみられなかった。
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