[市場動向]

これが世界最先端の”デジタル工場”だ!―知っておくべきWEFの取り組み

2020年10月27日(火)杉田 悟(IT Leaders編集部)

工場のデジタル化はどこまで進んでいるのか――それを知る格好の材料が、世界経済フォーラム(WEF)と米マッキンゼーが2017年に開始した「グローバルライトハウスネットワーク(Global Lighthouse Network)」という取り組みである。デジタル技術を積極活用するなど、第4次産業革命に適応しようとする工場を認定するもので、2020年は10の工場が加わった。

次世代工場の指針であるGLN、日本企業は参考にすべき

 工場や物流施設は、CIOやIT部門から見ると縁遠く感じられるかも知れない。IT部門が統括するのは業務システムが中心で、特有のノウハウが必要なFAやCAD/CAM、物流システムなどは工場の生産技術部門や物流部門が担うケースが多いからだ。しかし今後は、それでは済まなくなる。すべてをつなげて状況を可視化し、マネージし、そして高度化することが求められるのだ。先進的といわれる工場は、部門の枠を超えてデジタル技術を導入し変革を推進している。

 そこで参考にすべきなのが、世界経済フォーラム(WEF)が運営する「グローバルライトハウスネットワーク(Global Lighthouse Network:GLN)」だ。GLNは、WEFが2017年に米マッキンゼー(McKinsey & Company)と共同で設立した製造業のコミュニティ。ライトハウスは直訳すると灯台であり、これからの工場や施設が取り組むべき方向を示すといった意味がある。

 世界1000以上の候補から、2018年には16、2019年に28、2020年には10の工場、施設が、これまでに認定されている(表1)。ただし日本の工場や施設は少なく、2019年に日立製作所の大みか工場(茨城県日立市)と三井海洋開発(MODEC)のブラジル・リオデジャネイロの海洋施設(浮体式海洋石油・ガス生産貯蔵積出設備)が選ばれただけである。

表1:2020年に選ばれたライトハウスの主な成果(出典:WEF「Global Lighthouse Network:Four Durable Shifts for a Great Reset in Manufacturing」より抜粋)
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 認定の基準は、デジタル技術の活用はもちろん、持続可能性や社会へのインパクトなど。中でもIoTやビッグデータ、AI、ロボット、VR/AR/MR(仮想現実/拡張現実/複合現実)といったデジタル技術をどれだけ活用しているかを重視している。日本の工場や施設が選ばれていないのは、単に選定の対象になっていないだけなのかも知れないが、これらの技術の利用で遅れをとっているからとも考えられる。

 というのもWEFが先進的な工場や施設を認定する大きな理由が、「大多数の製造業が、IoTやAIなどのデジタル技術を部分的にしか導入しておらず、結果として“パイロットの煉獄”に陥っている」点にあるからだ。パイロットの煉獄とは、デジタル技術の導入が試験的、あるいは部分的であり、施設全体やバリューチェーンにまでスケールできていない状態のこと。もちろん日本に限った話ではないだろうが、特に人の能力が高く、技術に頼らない仕組みがきちんと機能する日本の製造現場などでは、IoTやAIの導入/活用が進まずにPoC(概念実証=テスト利用)で終わってしまう話をよく聞く。

 WEFでは、パイロットの煉獄に陥り足踏みしている企業と、施設やバリューチェーン全体に先進技術を取り入れるのに成功し、進化し続けている企業とのギャップが広がっていることに危機感を持っているという。成功事例を紹介し、改革の指標としてもらうことでこのギャップを埋めるのがGLNを立ち上げた目的のひとつとなっている。

●Next:GLNに選ばれたアリババ、その取り組みとは?

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